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2003年11月27日(木) 22時05分

電子メール管理と法制度Scan

1●法における電子メール

 前回までのお話に、電子メールの管理が訴訟リスクを軽減するものであることに触れてきました。今回から2回連続で、法制度と電子メールの関係を見ることで、具体的なリスクを特定し軽減する方法を考えてみたいと思います。
 電子メールは10年ほど前に登場し、急速に生活や企業活動の中で普及したコミュニケーション手段です。現在では、電子メールなしに仕事を進めることなど思いもよらないほど重要な位置を占めています。しかしながら、その普及があまりにも急速であったため、インターネットや電子メールに法が対応しきれていない状況にあります。現在、世界中でこの新しいシステムに対応した法の整備が進められています。
 現在の我が国の法制度の中では、電子メールについての明確な規定がありません。既存の規定を準用し適用する必要があります。電子メールの性格を考えた場合、それ以前の概念に該当すると思われるものがいくつかあります。

◆信書:特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう。(郵便法第5条2)
◆文書:文字、その他の記号を使用して人間の思想、判断、認識、感情等の思想的意味を可視的状態に表示した有形物をいう。
◆電磁的記録:電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。(刑法第7条二、他)

 しかしながら、電子メールは郵便物ではなく、有形物でもなく、電磁的記録または文書に準ずる物件(民事訴訟法第231条)と解釈されます。
 電子メール=準文書に該当しますので、電子メールは民事・刑事における証拠能力を有することとなります。


2●電子メールの証拠能力

 さて、電子メールを証拠として成立させるためには、通常の文書における場合と同様の要件を満足する必要があります。文書には、公文書・私文書の別がありますが、電子メールは私文書と考えるべきでしょう。
 私文書を証拠として提出する場合には、民事訴訟法第228条により、文書の成立が真正であることを証明する必要があります。同法4項に、私文書は、本人または代理人の署名または押印があるときは、真正に成立したものと推定するとあります。しかしながら、証明書付き電子メール以外この要件を満たすことは困難です。そこで、第229条の筆跡等の対照による証明が準用されることとなります。

 ここで証明しなければならないことは、文書の原本性です。つまり、当該電子メールの成立した時期や改ざんされていないこと証明することで、原本であることを保証するわけです。
 まず、成立(着信)の時期を特定するためには、着信の要件を明確にすればよいわけです。電子メールは、システムの特性として発信者の属すドメインのメールサーバから受信者の属すドメインのメールサーバにデータが転送されることで成立します。したがって、着信の時期とは、受信者の属するドメインのメールサーバに当該メールが届いた日時ということができます。これは電子メールのヘッダに記載された経路情報に含まれる日時情報をもって証明可能と考えられます。


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