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2003年11月25日(火) 07時18分

郵便局で架空貯金42億円、47人処分 職場ぐるみも朝日新聞

 01年から02年にかけて、営業成績をあげるために「郵便貯金預入申込書」を偽造して架空貯金を作るなどしたとして、郵政職員47人が懲戒処分を受けていたことが分かった。架空貯金による預入額は判明しただけでも総額約42億円に上る。自分の家族名義で、現金が無いのに預け入れたと見せかけたり、預け入れと払い戻しを繰り返したりしていた。職場ぐるみで不正行為をしていたケースもあり、ずさんな国営事業の営業実態が浮き彫りになった。

 朝日新聞記者の情報公開請求に対して日本郵政公社が開示した懲戒処分説明書などで明らかになった。処分を受けたのは北海道、東京、中国など各地の郵便局員。停職や減給などの処分を受けていた。

 九州支社管内の郵便局では、上司が部下に指示をして架空の定期貯金3億2000万円を作っていた。99年12月〜01年4月に実際は入金が無いのに1000万円分の定期貯金の預け入れがあったかのように書類を偽造。1カ月もたたないうちに解約手続きをして再び預け入れの手続きを取った。こうした方法を繰り返して3億円余の「実績」を作り上げた。

 同支社によると、各郵便局では毎日、窓口業務終了後に帳簿と現金残高を照合する。ところが、この郵便局では管理職員自らが関与していたため、郵政監察の調査で発覚するまで1年以上も不正がわからなかった。この管理職員は停職2カ月の懲戒処分を受けた。

 東海支社管内では、架空の貯金を担保に借り入れをし、それをさらに貯金に回すなどの不正をしていたとして12人が処分を受けた。架空貯金の総額は約1億7000万円で、一部は郵便貯金の預け入れ限度額1000万円を超すものもあった。

 北海道支社管内では99年12月から1年間にわたり、上司が部下に指示し、家族名義で預け入れと払い戻しを81回繰り返して6億6400万円を作った。

 東京支社管内では01年3月から4カ月間で同様に136回繰り返していたケースや、管理職自ら預け入れた数日後に払い戻していた例もあった。

 中国支社管内では、架空貯金にかかわったとして3人が処分を受けていた。99年末から00年にかけて、架空貯金を担保にして借り入れて7件、約2600万円の「実績」を上げていた。

 日本郵政公社によると、00年から01年にかけて、高金利時に預けられた期間10年の定額貯金約100兆円が満期を迎え、民間金融機関との間で争奪戦となった。各郵便局では再び預け入れてもらうように営業活動を展開。一部の職員が目標を達成しようと不正を働いた、と見ている。

 公社は不正防止策として短期間に預け入れと払い戻しが繰り返されるケースはチェックするシステムを導入するなどしている。

    ◇

 <郵便貯金の営業目標> 日本郵政公社では、貯金事業の営業目標は、民間の金融機関と異なって預入額を基準としている。公社の説明によると、個々の貯金者の口座残高は各郵便局では把握できないシステムとなっているためだ。事業全体としては最終的には残高を目標においているが、経験則から、どのぐらい貯金を集めればいいかを推測できるという。

 同公社では「システム上の問題もあるが、残高を営業目標として設定すると、払い戻しを抑えようとする不適正な行為を引き起こす恐れもある」としている。

(11/25 07:18)

http://www.asahi.com/national/update/1125/007.html