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2003年11月25日(火) 15時05分

<自殺者の手紙>役所で冷たい扱い 死を決意した経緯をつづる 毎日新聞

 今年9月、借金を苦に日本海に臨む東尋坊(福井県三国町)で飛び込み自殺しようとしていた東京都の男性(当時55歳)と女性(同72歳)のカップルが、県警三国署員に説得、保護され、再出発を誓った後の帰途、新潟県内で命を絶った。2人が自殺の直前、署員にあてた手紙には、野宿に疲れ、施設への保護などを求めて訪ねた数カ所の役所で「他県の者がもってのほか」などと冷たい扱いを受け、再び死を決意した経緯がつづられていた。

 9月3日夕、東尋坊のベンチにいる2人を署員が見つけた。事情を聴くと「居酒屋の経営に失敗し200万円ほどの借金が返せない。死ぬつもりだった」と明かした。繰り返し説得され、女性が「もう一回頑張ろうや」、男性も「どんな仕事をしてでも生きる」と約束したという。

 2人は翌日、同町、県職員に生活保護の相談をしたが条件が折り合わず、署を訪れ「東京へ帰ってやり直したい」と話した。同署は自殺目的で訪れ保護された人のための募金の一部を渡した。しかし3日後、2人は新潟県で首つり自殺しているのが見つかった。それから2日後、署員にチラシの裏に書かれた2人からの手紙が届いた。

 文面には「(生活保護の相談中に職員から)『死ぬならどうぞ』と言われ、帰京を決意した」とし、「(帰途の)市役所で施設への保護を求めたが『他県の者などもってのほか』と500円ずつ交通費を渡された」▽「(別の市役所で夜、交通費と傘を借りようとして)警備員に『傘は2本もいるのか。いい物を着ているのに』と言われ立ち去った」▽「一日一日が希望を目指す心を粉々に砕いた」——などとつづられていた。最後に、署員への謝辞と「このような人間が三国で、同じ道のりを歩むことがないように祈ってやみません」と結ばれていた。

 今年の東尋坊での自殺を図ろうとして保護された人は24日までに44人、昨年1年間では66人に上る。帰りの交通費や食費は、同署などに年間3万円程度寄せられる募金や署員らのポケットマネーで賄っているのが現状だ。

 手紙を読んだ署員は「再起を決意したのに、結局は絶望してしまったのか。残念だ」と言葉を詰まらせた。【樋口岳大】

 ◇「やりとり分からぬ」

 手紙で指摘を受けた福井県と三国町は「生活保護について説明したが、“死ぬならどうぞ”とまで言っていない」。また、別の自治体は「警備員が応待したが詳しいやりとりは分からない」などとしている。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031125-00001066-mai-soci