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2003年11月25日(火) 03時23分

妊婦のHIV感染増加、年間推計100人超 厚労省調査朝日新聞

 妊娠時の検査でエイズウイルス(HIV)感染に気づく日本人の妊婦が99年以降に目立って増えたことが、厚生労働省研究班(班長=稲葉憲之・独協医大教授)の調査でわかった。大都市圏だけでなく、地方都市でも確認され、外国人を含めると全国で年に100人以上と推計されている。ただ検査実施率は都道府県によって33〜100%近くと差が大きく、見逃されている恐れもある。結果は27日から神戸市で始まる日本エイズ学会で発表される。

 国内で報告された感染者が99年に500人を超えるなど感染拡大が背景にあり、研究班は、若者への感染予防策の普及や啓発を呼びかけている。

 調査は、国立成育医療センターの塚原優己医師(産科)らが、産科を掲げる約1670病院を対象に98年から実施(回答率64〜82%)。それ以前についても尋ねた。

 その結果、87〜02年に感染が判明した妊婦は275人。回答で国籍が確認できず「不明」な人もいるが、国籍がわかった人のうち日本人は102人。日本人の感染者は98年までは年に10人以下で、おおむね1〜5人だったが、99年に17人と急増して以降は16人、11人、14人と10人を超え、外国人より多くなった。

 地方都市でもわかる例が増え、外国人を含めると、02年までに東北、四国、九州など31都道府県で確認されている。

 99〜02年の4年間を平均すると妊婦10万人あたりの感染者は10.5人で、年間推定感染者は125人としている。

 一方、出産件数あたりの検査実施率は昨年は85%。静岡のほぼ100%など17都府県が90%以上だったのに対し、7県は50%以下。最も低い県は32.5%。感染の増加は検査の普及も一因とみられるが、元々実施率が高い地域でも増えている。

 妊婦がHIVに感染していても、妊娠中から抗HIV薬を飲む▽帝王切開する▽母乳を飲ませない、などの対策で母子感染はほとんど防げる。

 研究班の調査では帝王切開で出産した場合の母子感染率は1.6%。複数の薬を飲んでいた場合は感染していなかった。

 通常の出産では17例中5例で母子感染が起きていた。5例とも薬を飲んでいなかった。

 以前は感染がわかると3〜4割は中絶したが、対策の普及で出産例が増え、01、02年は1割に減っていた。

 研究班は感染がさらに深刻化しかねないと懸念する。10代、20代の一般妊婦への調査で性感染症のクラミジアの陽性率が10〜25%と高いからだ。若者の無防備な性行動がうかがえ、クラミジア感染で2〜5倍もHIVに感染しやすくなる。

 塚原医師は「感染しても薬で発症を抑えられるし、母子感染を防ぐこともできるようになった。感染に早く気づくよう検査の大切さを訴えたい」と話している。(11/25 03:04)

http://www.asahi.com/national/update/1125/004.html