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2003年11月25日(火) 12時26分

もち米高騰、正月のお餅は高値? 冷夏で不作、品薄に朝日新聞

 もち米の高騰が続いている。普通のコメと同様に冷夏で不作となり、市場に品薄感が広がっていることに加え、さらなる高値を期待して出荷を控える動きもあるようだ。取引価格は昨年の2〜3割高で、和菓子店や餅メーカーは小売価格の値上げを迫られている。農林水産省は、もち米の追加輸入を決めるなど沈静化に努めているが、最大の需要期を控え、正月のお餅は高値となりそうだ。

 「もち米が底をつくと打つ手がない。庶民の味をもう値上げしたくない」。東京都文京区の和菓子店・群林堂の池田敦美さん(60)はため息交じりに話す。創業87年。名物の豆大福はほどよい甘みの粒あんと、赤エンドウの塩味が利いたもちの薄皮が特徴で、毎日午後2時には完売する。しかし、この11月、10年ぶりに10円値上げして、1個130円にした。

 夏が過ぎ、宮城産のもち米の仕入れが難しくなり、秋田産にかえた。不作が確実となると仕入れ値はさらに上がり、10月には昨年の2倍近くに高騰。もち米そのものも手に入りにくくなった。「豆大福を作れないと大変だ」と、知人らからかき集めたが、値上げはせざるを得ない状況に追い込まれた。

 苦しい台所事情は、年末に大きな需要を控える餅メーカーも同じだ。業界最大手の佐藤食品工業(新潟市)は今月、20個入りの切り餅(400グラム)の希望小売価格を445円から475円に値上げした。15種類ある商品の平均でも約1割の値上げ。正月用の鏡餅は、7種類の商品を平均で7%値上げした。「需要の増える時期を前に安定的な商品供給を最優先に考えた。原料確保のため値上げせざるを得なかった」と説明する。

 せんべいやあられなどの日乃本米菓(東京都北区)。「国産にこだわってきたが、背に腹は代えられない」(総務部)と、9月からタイ産などを一部採り入れている。品質を落とさないよう、国産とのブレンド具合に気を使う。

 全国農業協同組合連合会によると、今年のもち米販売価格(60キロ)は1万8000円〜2万1500円と昨年より3000〜5000円高く、「中には3万円近くで取引されているケースもある」という。

 農水省によると、現在のもち米の年間需要は約30万トン。例年ならば、輸入はタイや中国、米国などから年間約3万トンで済んでいるが、今年度は北海道、東北の不作が響き、10月末までに3.4万トンを輸入。11月中旬にはさらに1.5万トンの追加輸入を決めた。同省食糧部計画課は「市場に安心感を出せば価格も落ち着き、抱えているもち米も市場に出てくるだろう」と話す。

 だが、実際に先行きは不透明だ。

 「外国産では風味や粘り、感触が国産と違うので使えない」と、全国和菓子協会の石川利一副会長(66)は話す。会員の多くは国産にこだわっている。「10年前の不作時より深刻だ。お正月前後にはさらに値上げする店が増えるかもしれない」と懸念している。

(11/25 12:18)

http://www.asahi.com/national/update/1125/013.html