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2003年11月24日(月) 00時00分

ベロタクシー 来春、松本で登場へ朝日新聞・

 松本城や狭い路地、蔵造りの町並みを自転車タクシーがさわやかに走り抜ける−−。こんな光景が来年4月、実現しそうだ。車社会に一石を投じる存在となるか。ドイツ生まれの「ベロタクシー」への期待と課題を探った。 (中村真理子)

 「ベロ」とは自転車の意味。排ガスはゼロ、ドライバーがペダルをこぎ、後部座席に2人乗れる構造だ。時速は10〜15キロ、風を感じながら景色を楽しめる。

 松本市で導入を計画しているのは建設会社長の村瀬直美さん(53)。「発注者ばかりに目を向けていた」と反省、公共事業には住民との対話が重要と考え、主婦との意見交換会を企画したが参加者が集まらなかった。

 今年6月、あてのないまま東京を訪れた。「何か刺激があるかも」と六本木ヒルズを見学、喫茶店で休んでいると、目の前を見慣れない乗り物が通り過ぎた。それがベロタクシーだった。

 インターネットで情報を集め、京都で実際に乗ってみた。乗客が行き交う人たちと手を振りあう光景に、「街に元気が出そうだ」と感じた。

 村瀬さんは「自転車や歩行者の視点で街や道路を見直すきっかけに」と、「人にやさしい街づくり推進協会」を立ち上げた。9月にNPO法人申請し、ドイツのメーカーに5台発注した。メンバーは若手社員や喫茶店マスター、電器店主ら10人。

 ベロタクシーはヨーロッパを中心に12カ国22都市で走る。国内では02年5月に京都市、同10月に東京・表参道で走り始めた。NPO法人「環境共生都市推進協会」が運営。来春には大阪市に進出する。

 利用者の半数は観光客、残りは地元のリピーター。電話で呼び、バスで不便な場所へ、タクシーよりも気軽に使う。買い物や子どもの塾の行き帰り、お年寄りの通院など幅広い。東京で1日1台あたり平日15〜20人、休日は30人を超える。10月までに両都市で8万人を超えた。「普段と違う景色が見られて新鮮だった」と好評だ。運賃は1回300円が基本で、ドライバーの収入になる。車体広告をはり、広告収入がNPOの収入だ。

 弱点は強い風雨や寒さが厳しい日は走れないこと。自転車での旅客運送業は、自動車と違って国交省の認可は必要としないが、道路交通法の「自転車の2人乗りは禁止」が障壁となる。

 ベロタクシーは道交法では「自転車」扱い。京都市では当初、「後部座席に乗客を乗せるのは自転車の2人乗りにあたる」と府警から指摘された。だが、京都府公安委員会は地域事情を踏まえて検討し、特例措置として市中心部約800メートル四方に制限し乗客2人までの運行を認めた。

 長野県公安委員会の細則は「2人乗り用の構造のある自転車は運転者以外に1人乗せてもいい」とある。県警交通規制課の柴崎邦洋課長補佐は、「ベロタクシーの構造なら2人乗りで運行は可能。事故や渋滞を防ぐために松本の地域事情にあわせてどうしたらできるか検討している」と話す。

 乗客は1人までで、カップルが乗ろうとしたら別々の車になる。「2人まで認めるには細則を改めなければいけない」と柴崎課長補佐は言う。

 地元のバスやタクシーも関心を寄せる。松本地区タクシー協議会の赤広義三議長は「客を食い合う可能性はあるが、雨でも雪でも走るタクシーの価値は変わらない」。100円の周遊バスや路線バスを運営する松本電気鉄道は「影響はないだろうが、もうかるなら参入を検討する」(田中幸徳常務取締役)とも。

 計画では、エリアを松本城と市街地中心部にしぼり、運賃500円の予定だ。ノーマイカーデー推進に取り組む松本市企画課の宮坂典男課長は「車とは違うスピードで街を見直し、良さを再発見できそうだ」と期待している。




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http://mytown.asahi.com/nagano/news02.asp?kiji=3794