悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月23日(日) 00時00分

住宅の夢 気をもむ“税” ローン減税 東京新聞

 年末で期限切れとなる現行の住宅ローン減税制度の延長をめぐり、維持・拡充を求める経済界や国土交通省、縮小を目指す財務省などとの綱引きが激化している。これからマイホームを買おうとしている人にはとても気がかりな話だが、決着は与党内の税制改正論議が大詰めを迎える十二月中旬までもつれ込みそうだ。 (経済部・斉場保伸)

 ■対 立

 「給料が安かった若いころは家が狭く、会社で残業ばかりしていた。今は家を持てたが、子供もすでに独立し、夫婦二人には広すぎるくらいだ。こんなちぐはぐさをなくすためにも、教育費など一番生活費がかかる時に住宅ローン減税は絶対必要だ」

 二十日、東京都内のホテルで開かれた日本経団連と谷垣禎一財務相との意見交換会。経団連の幹部が実体験を引き合いに出しながら、住宅ローン減税の延長・拡充を訴えた。

 日本経団連が求めるのは、住宅購入の自己資金(頭金)とローン残高の総額から一定額を減税する「住宅投資減税」の創設。

 この案によると、例えば四千万円の住宅を頭金一千万円、ローン三千万円で購入した場合、減税率が1%なら年四十万円の減税。今の住宅ローン減税より十万円の恩恵を受けることになる。

 住宅メーカーや不動産業界なども相次いで延長・拡充を求める要望を自民党税制調査会などに提出。来夏の参院選をにらみ、与党内でも「今の制度の継続、できれば拡充を」との声は強まるばかりだ。

 こうした拡充論に真っ向から反対し、減税縮小を唱えるのが政府税制調査会と財務省。「持ち家を買う人だけを政府が後押しするのは不公平」など、さまざまな理由を挙げる。本音はずばり「税収確保」だ。

 今の制度をそのまま続けると、住宅ローン減税による減収額は八年後に一兆円にも達する。税収は歳出総額の半分を切る瀬戸際にある。“火の車”の国の財政を考え、できるだけ減税規模を抑えたい意向だ。

 ■影 響

 「住宅ローン減税の制度を最近知った。(期限切れなので)出遅れてしまったなと感じている」

 二十二日午前、東京都大田区の新築マンションのモデルルーム。家族四人で訪れた三十代の男性会社員は悔やみながらも「減税が延長されれば、出遅れも取り戻せるし魅力だね」と期待を寄せた。

 この会社員のように住宅購入を検討中の人にとって、制度が拡充されるなら大歓迎に違いない。むしろ気になるのは減税規模が縮小された場合の影響だろう。

 政府税調は、来年度税制改正の答申に具体的な縮小案を示さない方針だが、縮小する場合は(1)最大減税額を今の五百万円から三百万−三百五十万円程度に縮小する(2)減税額の縮小に加え、控除期間を短縮する(3)「三千万円以下」となっている所得要件を引き下げる−の三つが検討対象となる見通しだ。

 住宅金融公庫の二〇〇二年度の利用者調査では、公庫と民間金融機関からの借入合計額の全国平均は一千九百五十八万円。三千万円以下の平均的な住宅ローン利用者の場合、控除期間が十年のまま、最大減税額が三百万円まで引き下げられても影響はない。

 問題は減税額縮小に加えて控除期間を短縮するケースで、控除期間が短くなった分、確実に減税の恩恵が減る。たとえばローン残高が二千万円前後で二年短縮の場合、今より約四十万円、減税額が減る。

 所得要件の引き下げでは、新たに制度の適用外となる高額所得者が影響を被る。いずれにせよ、縮小となれば三千万円を超えるような高額ローンを組もうとしている中・高所得層は、減税額圧縮など何らかの影響を覚悟した方がよさそうだ。

 ◇住宅ローン減税

 現制度では、個人が10年以上のローンを組んで住宅の購入や増改築をした場合、10年間にわたり年末の住宅ローン残高(上限5000万円)の1%を所得税額から差し引く。最大減税額は500万円。制度を使えるのは年間合計所得が3000万円以下の人で、サラリーマンの場合は給与年収3336万円以下となる。

 現制度を延長しない場合、2004年に最大減税額を6年間で150万円に縮小。05年以降は制度自体を廃止する予定になっている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20031123/mng_____kakushin000.shtml