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2003年11月22日(土) 20時40分

熊本・宿泊拒否 県と法務局 ホテル告発 旅館業法違反の疑い西日本新聞

 熊本県南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(同県合志町)の元患者らの宿泊を拒否した問題で、熊本地方法務局と同県は二十一日、正当な理由なく宿泊を拒否したとして旅館業法違反の疑いで、前田篤子総支配人とホテルを経営する化粧品会社「アイスター」(東京)を熊本地検に合同で告発した。同時に、同社に対し「今回の行為は元患者に対する偏見と差別に基づいた重大な人権侵害」として、人権学習の徹底などを文書で勧告した。

 宿泊拒否による刑事告発は異例で、大きな社会問題に発展したことで法務省として厳しい姿勢を示した。

 同ホテルは、熊本県が主催する「ふるさと訪問事業」で九月下旬、ハンセン病元患者ら二十二人の宿泊予約を受けたが、入所者と分かったため、「客に迷惑がかかる」と十月十三日、宿泊を断った。十四日には、県が本社を訪れ「完治が証明されており、感染の恐れはない。正当な理由がない拒否は人権侵害」と説明したが、拒否の姿勢は変わらなかった。

 旅館業法は、(1)宿泊しようとするものが伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められる(2)宿泊しようとするものが、とばく、その他の違法行為または風紀を乱す行為をする恐れがある—などを除いて、宿泊を拒んではならないと規定。違反した場合は、二万円以下の罰金が科せられる。

 記者会見で同法務局の篠原安彦局長は「今回の行為は単に旅館業法に違反するだけでなく、ハンセン病元患者らに対する差別と偏見に基づく行為。差別解消に取り組んでいる関係者の努力を無にする極めて悪質な事案であるといわざるを得ない」と指弾した。

 また二十一日、菊池恵楓園に小林茂喜・黒川温泉観光旅館協同組合長と河津修司・南小国町長らが訪れ、差別事件を防げなかったことを謝罪し「今後は町を挙げて人権啓発に努めたい」と誓った。

■反省してほしい 小泉首相

 熊本地方法務局と熊本県がハンセン病元患者の宿泊を拒否したホテル側を告発した問題で、小泉純一郎首相は二十一日夜、官邸で記者団に「やはり人権に配慮し、差別意識をなくしていかなければいけません。この問題を契機に反省すべきは反省していただきたい」と述べ、ホテル側に反省を促すとともに、元患者への人権配慮が必要との考えを示した。

 元患者らに対する差別の現状について「意識の背景にあるんでしょうね。そういう点をやっぱりなくしていかなくてはいけませんね」と述べた。(西日本新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031122-00000026-nnp-kyu