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2003年11月22日(土) 19時21分

都内唯一の内職斡旋所を廃止 財政難で、来年3月−−板橋区 /東京毎日新聞

 ◇良心的存在…惜しむ声
 戦後50年以上にわたり内職者を支えてきた板橋区の「簡易内職斡旋(あっせん)所」が区の財政難に伴い、来年3月限りで廃止されることになった。戦没者遺族の経済的安定を図り、最近は不況の中、勤めに出られない高齢者や子育て中の女性に貴重な仕事を提供してきた。内職斡旋は各区が実施しているが、斡旋所の設置は都内で同区だけで、利用者から廃止を惜しむ声が上がっている。【重長聡】
 同区の斡旋所は1952年から、戦没者遺族の生活安定と勤労意欲向上を目的に設置され、現在は「本所」(同区富士見町)と「分室」4カ所(同区赤塚、志村など)がある。
 それぞれ職員数人が常勤し、業者からの受注や登録者への仕事の割り振り、賃金管理、検品、苦情相談など全事務を担当。経費は区負担で、賃料の全額が内職者に渡る。内職は手提げ紙袋や封書の製作が主で、在宅での作業のほか、一部の斡旋所が作業用に開放されている。
 区福祉部管理課によると、昨年度は168人が登録し、総額約5300万円の“売り上げ”があった。一方、斡旋所の運営コストも人件費を中心に4700万円に上り、「売り上げと、ほぼ釣り合ってしまうのが現状」(同課)。財政難に加え、「費用対効果が低く、設置当初の目的も達成した」ことが廃止理由となった。
 「高島平分室」(同区高島平1)で内職を請け負い、約5万円の月収があったという主婦(41)は「4歳の子供を育てパートができないので、家事の合間にできる内職はありがたかった。今後は利用者同士でグループを作り、業者から直接受注する予定だが、仕事の分配などうまく継続できるか不安」と話す。
 また、内職を発注してきた紙加工業の社員(64)は「斡旋所の調整で仕事がスムーズに進んだだけに、廃止は大きな痛手だ。ロット(取引単位)の少ない商品は機械化するとコスト高になり、手作業に頼るしかない。最近は内職をめぐる詐欺商法も多く、良心的な斡旋所は貴重だと思うが……」と廃止を惜しんでいた。
 区は来年度以降、区役所での内職紹介などに事業を縮小し、移行措置として1年間は、分室3カ所を内職者に開放するという。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031122-00000001-mai-l13