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2003年11月19日(水) 00時00分

公衆電話 姿消しゆくあまり使われない公衆電話が次々と街から消えている。写真は15台が並ぶJR静岡駅構内朝日新聞・

 災害時対応に不安も
   携帯に押され・・・
   設置数ほぼ半減


 地震などの災害時に通話が優先される公衆電話の数が県内でも目に見えて減っている。ピーク時に比べ、02年度までに4割以上、1万2千台余りが姿を消した。携帯電話の普及で収益の落ちた公衆電話を、NTTは撤去している。その動きを県は黙ってみているしかなく、地域防災計画にも設置数の確保目標は盛り込んでいない。

 静岡市中心部の商店街。先代から開業する薬局の入り口脇に緑色の公衆電話が1台ある。前日夕方からの半日余りで、電話機内に硬貨は1枚も入っていなかった。管理や硬貨回収の手数料が店に入るが、手間を考えると大した収入でない。「そう言えば少し前まで周りの店の何軒かにも公衆電話があった。今はここしかないとお客に言われればやめるわけにいかない。効率だけで世の中は割り切れない」。男性店主(48)は言う。

 NTT静岡支店のまとめでは、県内の設置数は02年度が1万5800台。最多だった84年度の2万8千台から44%も少なくなった。特に99年度からの4年間で5千台減り、同じ割合で推計すると04年度末で約1万3200台まで落ち込む。20年で半減する計算だ。

 街から公衆電話が消えているのは全国的な現象で、要因は携帯電話の急激な普及にある。NTTドコモ東海によると、同社分だけで、今年3月の県内の契約数は121万1千件と5年間で2・7倍に増えた。毎年10万件前後伸びている。

 商店などに委託料を払い収益が悪い公衆電話をNTT西日本は02年度から撤去し始めた。一カ月の平均収入4千円が存廃の基準。渋る店も多いというが、一般固定電話と同じ加入権の購入が必要なピンク電話に換えてもらうなどで了解を求めているという。

 好収益なのは主にコンビニの公衆電話。また、公共場所に多い直営のボックス型は原則的に残している。

 地震などで被災地への電話が集中すると、NTTは一般電話と携帯電話の通信を規制して公衆電話をかかりやすくする。収益性と無関係に防災上の観点から1キロ四方に最低1台を残すよう決めている。とはいえ、万一の通信手段になる公衆電話は身の回りから確実に姿を消している。

 NTTには携帯電話からも使える災害用伝言サービス「171」があるが、認知度はまだ高くない。県の地域防災計画では、各市町村指定の避難場所などでの地震対策専用電話、公衆電話の回線数が明記されているが、現状把握に過ぎない。

 県防災政策室の加藤晴夫室長は「公衆電話をできるだけ残してもらえればありがたいが、商売を犠牲にしてまでNTT側にそれを求めることはできない」と話している。


(11/19)

http://mytown.asahi.com/shizuoka/news01.asp?kiji=9942