悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月17日(月) 15時12分

社説 「ミニバブル」調整下の株安日経新聞

 東京市場で17日、株安、円安が急速に進んだ。一部でイラク情勢に絡み、日本の地政学的リスクを懸念した動きとの指摘もあるが、基本はミニバブルの調整という市場の内部要因だろう。市場関係者は株価の下げを深刻には受け止めていない。

 日経平均株価の1万円割れはほぼ3カ月ぶり。10月の年初来高値からの下落率は約12%、総選挙後の下げ幅は800円(8%)を超えてきた。しかし、選挙結果は予想の範囲内でとりたてて材料視されていない。急上昇した株価の調整局面が続いており、値動きは荒くなっている。

 全般的な調整の中でも下げが目立つのは、ソフトバンクなど情報技術(IT)関連株の一部と、大手銀行株など、5月以降の上昇率が大きかった銘柄だ。業績から大きくかい離して買われた銘柄が決算発表で売られたり、金融行政との関係で株価の適正な評価が難しいことを材料に思惑で上げていた銀行株などが人気の反動で下げてもおかしくはない。

 株価の上昇局面で買いの主役だった外国人投資家の動きが鈍り、ヘッジファンドなどが日本株売りに回って需給関係を崩している。1日平均10億株台の出来高を支えてきたのは、外国人投資家に加え、ネット取引で頻繁に売買を繰り返す個人投資家や証券会社の自己売買部門で、いずれも短期売買が目的の逃げ足の速い資金だ。そうした投資家は、買いでもうからなくなれば、売りでもうけようとするので、上昇、下落とも株価変動が大きくなる傾向がある。

 株価を決定する経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)に大きな変化はない。今週、決算発表がピークを迎える上場企業の9月中間期の業績はほぼ予想通りの増益決算に収まりそうだ。株価水準の下方修正で、企業業績と比べた日本株全体の株価評価の割高感は、歴史的にも国際的にも薄れている。来年以降の米国経済の動向や、世界的な金融相場が変調をきたす可能性など不透明な要素は残るものの、今のところ市場内部の調整とみていいのではないか。

 今必要なのは、長期投資を促す官民挙げての努力の継続と、イラク問題など国際情勢への適切な対応、そして金融システムの安定化、健全化に向けた着実な取り組みである。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031117MS3M1700R17112003.html