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2003年11月16日(日) 00時00分

家電リサイクル法施行から2年半朝日新聞・


 徳島市の廃品回収業者が、家電小売店から回収した大量の廃家電を山中に捨てていたとされる事件は、徳島地裁で公判中で、業者は1年半ほどの間に、約1300台もの廃家電を不法投棄していたと供述しているという。量の多さに驚いた関係機関は、小売店の指導に改めて乗り出すなど対策に躍起だ。不要になった家電製品のリサイクルを義務づけた家電リサイクル法の施行から約2年半。事件が起きた背景には、同法の問題点を指摘する声がある。
(栗田賢一、小椋文智)


 家電リサイクル法の対象はエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目。小売店は消費者から引き取った家電を指定の場所まで運び、メーカーは重量の50〜60%以上を再利用することが定められている。

 リサイクル費用は消費者の負担で、国内の主なメーカーの場合、エアコン3500円、テレビ2700円、冷蔵庫4600円、洗濯機2400円。消費者はさらに運搬料も負担する。

 小売店は処理費と運搬費を受け取り、引き取った家電に店名を記した「リサイクル券」を張る。あとでメーカー側が小売店に料金を請求するためだ。小売店は処理費をメーカー側に、運搬費を運搬業者に支払う。

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 しかし、不法投棄された家電に券は付いていなかった。逮捕された業者は「中古品として再販売する」などと持ちかけ、券なしでも引き取っていたらしい。

 依頼していた海部郡の小売店主は、報道で初めて不法投棄を知った。「券がなくてもいけると言うので張らずに渡した。不法投棄なんてしていないというので信用していたのに」

 県循環型社会推進課は「今回の事件では、家電を購入する時ではなく、捨てる時にリサイクル費用を負担する『後払い制度』の弊害が出た」と指摘する。

 以前から自治体側には、製品価格にリサイクル費用を上乗せして売る「前払い制度」への変更を求める声が強い。

 しかし、管轄する経済産業省の情報通信機器課は「現在国内で使用されている4家電は約3億個と言われる。前払い制度を導入した場合、これらの処理費はどうするのか。また、購入した家電を消費者が10年使うとして、先に払ってもらった処理費をその間どのように管理、運用するのか」と疑問視する。むしろ、「家電を捨てる際に消費者がコストを払うという認識を、しっかり浸透させることが大事」と主張する。

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 引き取り場所はメーカーが指定する。A、Bのグループに分かれており、県内ではAグループ(松下電器、東芝など21社)が徳島市と三加茂町、Bグループ(日立、三洋電機など22社)が同市と脇町に持つ。

 県内の小売店約300店でつくる県電機商業組合の湯浅武男理事長は「県南など郡部の小売店が自ら遠方の2カ所に運ぶのは大変。しかも引き取り場所から離れた地域では、消費者が払う運搬料も高くなる」と指摘する。

 県や同組合は、引き取り場所の増設を求めているが、メーカー側は消費者の負担増につながるとして難色を示す。

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 事件を受けて、四国経済産業局(高松市)は10月、県やメーカーの担当者、同組合の幹部らを集め、再発防止に向けた会議を開いた。県も28日に小売店主らを集めて研修会を開く予定だ。

 同法は、施行5年後の06年度に見直すことが決まっている。県は「今後、前払い制度や引き取り場所の増設などを国に要望していきたい。改善されなければ、同様の事件が起きる可能性は今後もある」としている。
(11/16)

http://mytown.asahi.com/tokushima/news02.asp?kiji=3701