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2003年11月14日(金) 13時28分

欠陥住宅:名義貸しの工事監理者にも賠償責任 最高裁が初判断毎日新聞


 欠陥住宅をめぐる建築訴訟で、最高裁第2小法廷(亀山継夫裁判長)は14日、建築が設計通りに行われているかチェックする「工事監理者」について、名義を貸しただけの建築士にも「欠陥に対する損害賠償責任がある」との初判断を示した。多発する住宅トラブルの一因には実体のない工事監理があるとされ、名義を貸した側にも法的責任を課した判決は、被害者救済の道を広げる意義を持つ。

 訴えていたのは、大阪市東成区の建売住宅購入者。1、2審は設計図より強度の低い鉄骨が使われている点などから「著しい手抜き工事で危険」と欠陥を認定したものの、賠償を命じられた施工業者に支払い能力がなかったため、原告3世帯のうち1世帯が、工事監理者として届け出ていた設計会社との裁判を続けていた。

 この設計会社の一級建築士は、市への申請手続き代行を施工業者から請け負い、その際に施工業者から頼まれて工事監理者の欄に会社の署名をしたが、正式な契約は交わさず、その後の工事には一切携わっていなかった。

 同小法廷は、建築士一般について「建物を建築したり、購入しようとする人に対し、適法な建物を提供する義務がある」と指摘し、工事の段階では契約関係にない建売住宅の購入者に対しても責任を負うとの初判断を示した。そのうえで今回のケースは、「重大な欠陥がある建築に何の措置も取らず放置した責任がある。実際に工事監理をしないなら、着工までに届け出変更を申し出る義務があった」と認定し、原告の損害額の約1割に当たる490万円の賠償を命じた2審判決を支持し、設計会社の上告を棄却した。

 施工業者に対しては、1審で約1億4000万円の支払い命令が確定している。【清水健二】

 【ことば】工事監理者 建築物の工事内容を確認する責任者。建築基準法の規定では、建築の際は必ず置かなければならず、規模や用途に応じ「一級建築士」「二級以上の建築士」などの資格が決められている。住宅では設計担当の建築士が行うのが一般的。工事が設計通りでない時は施工者に注意し、完了時には建築主に報告をする義務がある。

[毎日新聞11月14日] ( 2003-11-14-13:28 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031114k0000e040032001c.html