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2003年11月14日(金) 14時09分

「名義貸し」の建築士も賠償責任 欠陥住宅で最高裁判断朝日新聞

 一戸建て住宅にひどい手抜き工事があった場合、「工事監理者」の名義を貸しただけで工事には無関係だった建築士にも損害賠償を請求できるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(亀山継夫裁判長)は14日、「請求できる」とする初判断を示した。建築士側の上告を棄却する判決を言い渡し、計490万円を建主に支払うよう一級建築士事務所に命じた二審・大阪高裁判決が確定した。

 同小法廷は「建築士は工事監理を独占的に任されており、法規制の実効性を失わせるような行為をしてはならない法的義務がある」としたうえで購入者と直接の契約関係がなくても賠償責任があると指摘した。5裁判官のうち、滝井繁男氏は弁護士時代、建築士側の代理人を務めていたため、審理に加わらなかった。

 訴えていたのは、長女一家のために鉄骨造り3階建て住宅を約4420万円で購入した大阪市の男性と、その長女。

 この住宅には雨漏りや壁のすき間があるほか、柱と土台の強度が不足する欠陥住宅だった。建築業者に対しては、売買契約解除と代金返還命令の判決が確定しているが、支払い能力がなく、現在もこの家に長女一家3人が住んでいる。

 建築士法は、建築士が工事監理者として建物の安全性などをチェックするよう定めている。一方、法律上の規定はないが、大阪市は、建築確認申請の際に工事監理者名を提出するよう指導。この建築士は、業者の依頼で申請手続きを代行したが工事監理者が未定だったため、名義を貸していた。実際の工事は、工事監理者なしで進められた。

 こうした経緯を踏まえ同小法廷は「自分が工事監理を行わないことが明確になった段階で業者に監理者の変更届を出させるなど適切な措置をとるべきだった」と述べた。

 一審・大阪地裁は建築士の責任は問えないと判断したが、二審は00年8月、「名義貸しを頼むような業者が、実際に監理者抜きで危険な建築工事をすることがないよう配慮する義務があったのに怠った」と指摘した。ただ、これほどひどい手抜きをするとは予見できなかったとして、損害の約1割について因果関係があると認めた。(11/14 14:08)

http://www.asahi.com/national/update/1114/026.html