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2003年11月14日(金) 00時00分

調査難航に被害者怒り 神栖ヒ素の汚染源不明 東京新聞

 神栖町の飲用井戸が旧日本軍の毒ガスに由来するとみられるヒ素で汚染された問題で、環境省が行っている汚染源調査が難航している。調査は五月末から続いているが、汚染源の数も規模も場所も不明のまま。今月十一日からは範囲を拡大した新たなボーリング調査が始まったが、原因究明のめどは立っていない。責任の所在の確認や補償問題も先送りされたままで、健康被害を受けている住民たちの不安と怒りが高まっている。 (小林 孝一郎)

 環境省は十月中旬までに、最初に水質基準の四百五十倍のヒ素が検出された井戸(A井戸)の周囲で、三段階の調査を実施。当初は「汚染源はA井戸のごく近く、深さ数メートルまでに存在する」と想定していたが、「汚染は予想よりも深く、広い範囲に存在する」可能性が出てきた。

 今月十日夜、同省は神栖町で住民説明会を開き、今後の調査方針を発表した。A井戸から半径二百メートル圏内に調査範囲を拡大し、二月までに最大五十本のボーリング調査を実施。A井戸から西に約一キロ離れた地区(B地区)でも、三月までに最大七十本のボーリング調査と約百カ所の井戸水検査を行い、ともに汚染源の絞り込みを図るという。

 説明会後に記者会見した同省の三宅智環境リスク評価室長は「当初の想定が外れ、専門家の間でも謎になっている。大変難しい状況だ。調査のピッチを上げて、汚染源を絞り込んでいきたい」と苦しい説明に終始した。

 A井戸で家族四人が健康被害を受けた主婦青塚美幸さん(26)は「環境省はいつも同じ説明しかしてくれない。原因究明も補償問題も、あやふやにして終わっちゃいそう」と不信感を隠さない。

 B地区の被害住民らでつくる旧日本軍毒ガス汚染被害者協議会の池田三富郎代表(58)は「調査に時間がかかる一方で、これから先何年かかるかわからない。ずっと黙って待っていて、本当にやりきれない」と苦しい胸の内を明かす。

 これに対し、環境省の担当者は「われわれはデータをとって、専門家の先生に知らせるだけ。一生懸命やるというスタンスは最初から変わっていない」と話す。説明会で「(調査の進展が)遅すぎる」と声を上げた住民たちが安心できるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20031114/lcl_____ibg_____000.shtml