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2003年11月12日(水) 03時15分

おれおれ詐欺の被害額15億超す、背景に借名口座読売新聞

 孫などを装って高齢者らから現金をだまし取る「おれおれ詐欺」の被害発生に歯止めがかからない。警察庁によると、今年に入ってからの被害額は、全国で15億円を突破した。

 振込先の口座の大半は、ヤミで売買されている仮名口座や借名口座であるため、犯人の特定が難しく、捜査が追いつかないことが背景にある。疑わしい口座を金融機関が凍結しても、犯人側は、利用する口座を次々と変えるようになっており、“いたちごっこ”が続いている。

 警察庁によると、全国のおれおれ詐欺の被害は46都道府県に及び、9月末までの被害件数は2564件(うち未遂が636件)、被害金額は約15億2850万円。

 東京都内だけでも、今年3月中旬から先月下旬までの約7か月間で被害件数が938件、被害金額は約6億5000万円に上る。警視庁は、これまでに数グループを摘発する一方、折り込みチラシなどを通じ、お年寄りに注意を呼びかけてきたが、都内でも減少の兆しが見られない。先月も、件数、金額とも、前月より2割以上増えた。

 犯人はほとんどが銀行口座への振り込みを指定してくるため、警視庁はすぐに口座の名義人から事情を聞くが、名義人は、「(通帳を)紛失した」「盗まれた」などと説明するケースが多い。その後の調べで、インターネットなどヤミルートで売買されたことまでは判明するが、犯人にはなかなかたどりつけないのが実情だ。

 警視庁からの要請を受け、金融機関側は、おれおれ詐欺に利用されている疑いの強い口座の凍結を積極的に進めてきたが、犯人側も大量の口座を用意して“対抗”している。

 警視庁は先月末から今月初めにかけて、5人のグループを逮捕したが、主犯格の男は、共犯の少年らに、「1口座を2、3万円で買ってやるから1人当たり30口座ぐらい集めてこい」と命じ、友人名義など30口座以上を用意。被害者側に怪しまれるとすぐに振込先の口座を変えて、警察の追及を逃れようとしていた。

 また、9月下旬から先月下旬にかけて逮捕された別の5人組グループにも、「口座集め担当」がいて、少なくとも十数口座を用意していたといい、口座売買の横行が浮き彫りになっている。

 警視庁幹部は「口座を売る側についても口座管理責任を問うなど、売買そのものを抑制する何らかの法制度が必要」と指摘している。

 ◆仮名口座は犯罪の温床、口座屋も暗躍◆

 仮名口座などは、ヤミ金融や薬物販売、インターネット・オークション詐欺など違法ビジネスに使われ、犯罪の温床になっている。「口座屋」と呼ばれる販売グループの存在も確認されており、ネット上で公然と売買が繰り返されている。

 大阪府警が昨年5月、詐欺容疑などで逮捕した電話代行業者(62)ら4人は「口座屋」と呼ばれ、ネットなどで仮名口座を全国に販売していた。開設した61口座の大半が、郵送で開設できる「メールオーダーサービス」を悪用したもので、年金手帳などの証明書を偽造して提出書類に添付していた。

 口座の購入先の捜査から、府警は売春の売上金の管理や、わいせつDVDの販売代金の振込先などに使われていたことを突き止め、関係者を逮捕。口座開設を条件に、多重債務者らに違法金利の貸し付けを行い「口座屋」に売っていた貸金業者(38)も逮捕された。

 鳥取県警も昨年2月、借金返済の肩代わりに口座を開かせ、1口座5000—1万8000円で、ネットを通じて約70人に販売した金融業者(40)ら3人を詐欺容疑で書類送検している。

 こうした実態を受け、警察庁は、先月20日に開かれた全国銀行協会や金融庁との連絡会で、改めて口座開設時の本人確認の徹底などを求めた。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031112-00000101-yom-soci