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2003年11月11日(火) 16時00分

20年近く前から「有栖川」名乗る 祝儀詐取の容疑者朝日新聞

 大正時代に途絶えた皇族「有栖川宮」の継承者をかたって結婚披露宴を開き、祝儀約1300万円の詐取容疑で逮捕された北野康行容疑者(41)は、20年近く前から「有栖川(ありすがわ)識仁(さとひと)」を名乗っていたことが警視庁の調べでわかった。クラブホステスに自分のことを「まろ」と言い、訪ねた先々で金銭がらみのトラブルを起こしていた。

 調べや関係者によると、北野容疑者は京都府南部にあった青果店で生まれた。3人きょうだいの長男で弟と妹がいる。地元の中学を卒業後、警備員や寺の清掃作業員などの仕事をし、10代後半に家を出たという。

 「有栖川」をかたり始めたのは80年代の半ば。周囲には、実在の皇族の名を挙げて「そのお方に『実の子だ』と言われ、有栖川宮を継承することを許された」などと、うそをついていた。

 十数年前から付き合いがあるという政治団体の幹部は「京都のクラブに招くとホステスに『まろは愉快だ』と言っていた。寡黙で、それらしい雰囲気だった」と振り返る。

 京都市内の公団住宅の一室に98年、北野容疑者がいた。「有栖川宮記念事業団」総裁だという。訪ねた男性は、知人から「高貴な方を中心に記念事業を進める。協力してほしい」と頼まれて事業団の理事になり、事前に30万円を寄付していた。

 理事就任のあいさつをするとポロシャツ姿の北野容疑者は何も言わず、おうようにうなずくだけだった。事業団は「寄付金で、京都などに霊園や福祉施設をつくる」としていたが、男性の知る限りどれも実現していない。「カネだけが目当てだったんだろう」と憤る。

 神武天皇ゆかりの地とされる宮崎県高原(たかはる)町にある「高天ケ原(たかまがはら)神社」に00年6月、北野容疑者が現れた。02年に破産した東京の宝石販売会社の幹部が一緒だった。

 2人は神社の田中千宗山主(68)に「40億円を寄進する」と申し出た。神社側には社殿新築などの計画があった。北野容疑者らは01年、神社の事業を支援するためとして「奉賛会」を京都と大阪、東京に設け、1口1万〜2万円の「奉賛金」を集め始めたという。

 数カ月後、神社に1リットルの水が入ったボトルが送られてきた。ラベルに「有栖川識仁書 宮内庁献上品」とあり、総発売元が神社になっていた。「6本入りの箱を1万円ほどで売り、売上金を寄付する」と説明したが、その後神社には1円の金も届いていない。(11/11 15:59)

http://www.asahi.com/national/update/1111/030.html