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2003年11月11日(火) 12時10分

医師の過失認め審理差し戻し 兵庫・川西の医療ミス訴訟朝日新聞

 兵庫県川西市の内科・小児科医院で88年、当時小学6年だった男性に対する初期診断ミスで重い脳障害が残ったとして、この男性(27)が院長に6851万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は11日、請求を退けた一、二審判決を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻す判決を言い渡した。

 訴えられたのは、川西市の「上月医院」の上月清司院長。裁判では、院長がどの時点で脳症の可能性に気づくべきだったかが争点になった。

 同小法廷は医師の過失を認めた上で、「適切な医療機関への転送の遅れと後遺症との因果関係が証明できなくても、重大な後遺症が残らずに済んだ相当の可能性が証明されれば、医師の判断ミスは不法行為となる」とする初判断を示した。

 一審・神戸地裁、二審・大阪高裁はいずれも「医療ミスはなかった」として請求を退けたが、同小法廷は「院長は総合病院への転送を決めた前日の段階で急性脳症を含む重大な病気にかかっている可能性を認識できたのに適切な治療を怠った過失がある」と判断した。

 一、二審判決によると男児は88年9月、頭痛と発熱を訴えて来院した。院長は「上気道炎」「右頸部(けいぶ)リンパ腺炎」と診断し、アスピリンなどを処方。2日目、診断名に「扁桃(へんとう)腺炎」を加え、薬を2倍に増やした。その後男児は大量に嘔吐(おうと)。5日目も嘔吐が続き、この日だけで3度も来院したが、院長は「急性胃腸炎及び脱水症状」と診断し、点滴をして帰宅させた。

 ところが、6日目に容体が急変して総合病院に緊急入院。5カ月後に「原因不明の急性脳症」と診断された。運動機能に重い障害が残り、現在も日常生活全般で常時介護が必要な状態となった。

 子どもがアスピリンなどサリチル酸系の解熱鎮痛剤や総合感冒薬を服用すると、「ライ症候群」と呼ばれる重い脳症を起こすことがある。男児の脳症は「原因不明」とされているが、初期にアスピリンを投与された。(11/11 12:10)

http://www.asahi.com/national/update/1111/017.html