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2003年11月10日(月) 14時37分

医療過誤:エタノール誤混入で看護師に有罪判決 京都地裁毎日新聞


 京都地裁は10日、京大病院(京都市左京区)で00年2月、人工呼吸器の加温加湿器に消毒用エタノールを誤って混入、入院中の藤井沙織さん(当時17歳)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた同病院看護師、高山詩穂被告(27)に禁固10月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。古川博裁判長は「初歩的な過誤で、真しに反省しているが、責任は重大」などと述べた。

 判決によると、高山被告は00年2月28日午後5時半ごろ、乾燥した空気が肺などを痛めるのを防ぐ加温加湿器に補給する蒸留水タンクを消毒用エタノールのタンクと取り違えて取り付け、エタノール計300ミリリットルを注入。さらに、ほかの看護師4人も約53時間にわたり計870ミリリットルを誤って注入することになり、藤井さんを急性エタノール中毒などで死亡させた。

 公判で弁護側は高山被告の責任を認め、過酷な勤務実態や、ずさんな薬剤管理が事故の背景と主張。国家公務員としての地位を失う禁固以上ではなく、罰金刑の判決を求めていた。

 事件を巡っては、京都府警は01年1月、誤注入を両親に伝えず、直接死因を「急性心不全」とする死亡診断書を作成するなどしたとして、当時の担当医を虚偽有印公文書作成・同行使容疑で、高山被告を含む看護師ら7人を業務上過失致死容疑で書類送検。京都地検は02年10月、高山被告だけを起訴した。

 沙織さんの両親は昨年10月、担当医や看護師長ら4人について、京都検察審査会に不起訴不当の申し立てを行った。また、01年10月には、国と医師、看護師ら9人を相手取り、1億1400万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こし、現在、京都地裁で係争中。【中村一成】

 ◇父「むなしい」

 判決後、亡くなった藤井沙織さんの父省二さん(47)が記者会見。「刑事裁判では事故後の病院側の対応について明らかにならなかった。量刑を言葉にするのは、むなしい」と述べた。代理人の弁護士も、「高山被告1人のみを起訴した刑事手続きでは、これ以上病院の管理監督責任に踏み込むのは難しかったのだろう」と語った。

 一方、判決について、田中紘一・京大病院長は「厳粛に受け止める。事故を貴重な教訓として、2度と起こさぬよう、医療事故防止に努め、信頼回復に全力を挙げたい」とコメントした。

[毎日新聞11月10日] ( 2003-11-10-14:37 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031110k0000e040064000c.html