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2003年11月09日(日) 06時25分

知財高裁「東京高裁内に設置」案浮上 コスト抑え独立性朝日新聞

 政府の司法制度改革推進本部(本部長・小泉首相)は、特許や著作権など知的財産権の争いを専門に審理する「知的財産高等裁判所」(仮称)のあり方について三つの案をまとめ、10日に開かれる知的財産訴訟検討会(座長・伊藤真東大教授)に提示する。政財界に要望の強い「9番目の高裁新設」案を併記したほか、東京高裁内に独立組織を創設する案を新たに追加した。この案は、新設ほどコストがかからず、人事や予算面で独立性を保てる利点があるとされ、有力案になるとみられる。

 残る一つの案は、現在の東京高裁の知財専門部を「知財高裁」と呼ぶ最も消極的な案だ。

 知財高裁をめぐっては国際的なアピール効果を狙って、政財界が以前から、9番目の高裁新設を強く主張。一方の法曹界は「新設は非効率でナンセンス」などと反対し、綱引きが続いていた。

 そこで折衷案として浮上したのが東京高裁内設置案。推進本部によると、同高裁の一部門とするものの、知財に強い裁判官を育成するための人事権や予算執行権など司法行政権限を持たせ、長官格の「所長」(仮称)が総括する。

 具体的には▽特許庁の審決取り消し訴訟▽東京・大阪地裁などで判決のあった特許権などの侵害訴訟▽東京高裁管内の地裁で判決のあった、著作権や商標権などの控訴審、などを扱う。

 推進本部によると、諸外国で特許裁判所を設けている国は少なくないが、米国のように知的財産以外の事件も扱ったり、英国のように高裁内の一部門だったりで、知的財産訴訟全体を専門に扱う独立した高裁をもつ国は皆無。こうした事情も踏まえ、同本部は東京高裁内設置案をまとめた。

 一方、法律家ではない技術専門家を裁判官として起用する「技術判事」の導入も知財高裁とセットで検討されてきたが、今回は見送られる公算が大きい。検討会の議論でも、知的財産戦略本部(本部長・小泉首相)の専門調査会でも、否定的な意見が大勢を占めたためだ。裁判官に対する技術的なサポートには、特許庁や弁理士から出向している裁判所調査官の権限を拡大し、来年から導入される専門委員を活用する。

 知財高裁の具体像については、知的財産戦略本部ともすり合わせた上で結論を出し、04年中の通常国会に関連法案を提出する予定だ。(11/09 06:25)

http://www.asahi.com/national/update/1109/003.html