悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月07日(金) 00時00分

ラーメン一杯100円を守り続けて30年自分の似顔絵のメニュー表の前で。「この原画も高校生が描いてくれたの」と青木さん=福岡市南区野間1丁目で朝日新聞・

〝麺麺〟と心満たし30年/氷川きよしもASKAも通った/店主青木さん「最高の人生」

 一杯100円のラーメンが、今年で30歳を迎えた。福岡市南区野間1丁目、野間四ツ角バス停前の「勝龍軒」。100円玉を握りしめて駆け込んだ子供たちの中には、演歌歌手氷川きよしさんや「CHAGE and ASKA」のASKAもいる。店の壁一面には子どもたちと店主の青木英子さん(68)の写真。「たくさんの人に覚えていてもらえて最高の人生」。30年を振り返るおばちゃんの目がうるむ。

 カウンター7席と立ち食い用の台で、15人も入れば満員だ。ずっとおばちゃんと呼ばれてきた青木さんが、西鉄高宮駅前で69年から切り盛りしてきた。「おつりを渡すのが大変だから」と、90円を100円にしたのが73年。駅前の再開発で91年に今の場所に移っても、一杯100円、替え玉50円は変えなかった。

 3年前、テレビ番組の企画で色白の若者が訪ねてきた。「箱根八里の半次郎」でデビューしたばかりの氷川さんだった。幼かったころ、母親の自転車の荷台に乗せられ、通ってきていた。「おばちゃんに会いたかった」。氷川さんは言った。

 青木さんが店に出始めて間もないころ、親類の子の手術で大量の血液が必要になった。シンナーを吸っていた高校生が「ぼくたちにはいっぱい友達がいるよ」と言ってくれた。「不良だと思っていたその子の優しさに、頭を殴られたような気がした」

 それから、おでんや酒を出すのはやめてラーメン一本にした。客の9割が小中学生や高校生になった。

 「もう少し食べたいっちゃろ。お金はいつでもよかよ」。そう言って替え玉をおまけしてあげた高校生は、大学を出た後、初任給で桜の絵入りのカレー皿を贈ってくれた。「桜の花が好き」と言ったのを覚えていたらしかった。おばちゃんの宝物だ。

 3年ほど前、家で転んで足の骨を折ってから娘の瞳さん(45)に店を任せることが多くなった。麺(めん)の仕入れ先はずっと同じで経費は抑えられているが、「おばちゃんがいないと店が続かないかも」と、瞳さんは心配している。




■■■■■ 「勝龍軒」と福岡市の歩み ■■■■■


1969年 青木さんが西鉄高宮駅前の店の経営者に。1杯70円
  70年 1杯90円。西鉄福岡−高宮間は30円
  72年 福岡市が政令指定都市に
  73年 1杯100円
  75年 山陽新幹線が博多まで開通。人口100万人突破
  76年 天神地下街が完成
  83年 西鉄福岡−高宮間100円に
  86年 朝日新聞「天声人語」で紹介
  88年 福岡ダイエーホークス誕生 
  91年 野間四ツ角バス停前に移転
  93年 福岡ドーム誕生
  97年 西鉄福岡−高宮間150円に
2000年 博多町人文化勲章を受章

(太字が「勝龍軒」の出来事。西鉄の料金改定は抜粋)


(11/7)

http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=5467