悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月07日(金) 06時46分

<暴力団対策>「暴排北九州方式」徐々に成果毎日新聞

 北九州市小倉北区のクラブ「ぼおるど」襲撃事件を受け、福岡県警は襲撃した組員が所属した指定暴力団工藤会系の摘発を続けている。一方で北九州市は、資金源を断つため、県警と緊密に連携して公共工事から暴力団を締め出すことに力を入れ、徐々に成果を上げている。「暴排北九州方式」の現場を追った。

 ■指名停止処分

 「(会社が)つぶれるばい、従業員もおるとに」。今年7月、北九州市からの指名停止決定通知書を受け取った建設業者は頭を抱える。

 工藤会系暴力団組員の結婚式に出席した。県警から連絡を受けた市の事情聴取に、業者は「飲み屋で顔見知りになっただけや」と主張した。だが、市側は「公共事業の請負者としては不適当」と切り捨てた。

 市の指名停止要綱に「暴力団排除規定」が盛り込まれたのは81年。現在、3億円(昨年までは5億円)以上の大型公共工事前には、孫請けも含めた「暴力団等介入排除対策会議」を開き、暴力団への対応方法を説明し、介入させない旨の誓約書を提出させる。暴力団との関係が明らかになれば指名停止処分だ。1年ごとに検証され、無関係となれば解除される。

 これまで、「暴力団に利益供与」「組員が役員」「組員が事実上経営」「組員を雇用」などで計35社が指名停止処分を受けた。昨春、暴力団と私的交際があることも排除規定に盛り込まれ、さらに厳しくなった。結婚式に出席して指名停止となった業者(3社)は新規定適用第1号となった。

 ■制度の抜け穴?

 「それでも“抜け穴”はある」。ある工藤会系の組幹部がこう話す。

 「若い者を組から抜けさせて作らせた会社を下請けに入れる。工事が大きくなると収入は何千万円にもなる。『談合屋』と呼ばれ、工事の仕切り役の組員もいる。上がり(リベート)は大きい」

 市内の建設業者は重い口を開き「リベートは受注額の3%ぐらい。向こう(暴力団)から言ってくる」と明かした。要求を断ると事務所の窓ガラスを割られたり、車のタイヤをパンクさせられるなどの嫌がらせが続くという。

 組幹部は「こっちで仕切ってやれば、欲しい所(業者)に仕事がいくし(談合から)抜ける所も出ない。共存共栄やないか」とうそぶいた。

 北九州市の指名業者の登録数は現在約3600社。県警によると、20〜30社が工藤会と関係する会社とみられるという。

 市契約室は「『疑わしい』だけで排除はできない。明確な証拠が必要なため、決め手は警察の情報、判断になる」と話す。同室には県警OBの嘱託相談員を配置、日常的に警察と情報交換している。

 ■暴排傾向強まる

 「しかし、処分を怖がる業者が多うなった。最近は全体の上がりが相当減っちょる」と先の組幹部。暴力団に詳しい関係者は「資金遮断の影響で欲求不満が高まり、(暴追の旗頭だった)ぼおるどの襲撃にもつながったのでは」とみる。

 戸畑署の古賀寿雄副署長は「まず情報提供を。被害を受ける前に、あらゆる法令を使って暴力団を取り締まることが出来る」と力を込める。

 県弁護士会の河辺真史・民事介入暴力対策委員長は「暴力団に安易に金を払う業者は、暴力団をのさばらせている意味で“加害者”。業者側には妥協を許さない姿勢が、警察側には厳正に処罰する姿勢が必要だ」と指摘している。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031107-00000147-mai-soci