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2003年11月05日(水) 06時10分

国も病院も届け出ルール告示誤読 医療費過払い60億円朝日新聞

 診療報酬制度の改定に絡み、国などが01年度までの2年間で約60億円の医療費を過大に支払っていたことが会計検査院の調べでわかった。医療機関が診療報酬引き上げの届けを誤って出し、国の出先機関が受理するケースが多発したという。検査院は「届け出ルールを書いた厚生労働省の告示文書が分かりづらく、医療機関や国の出先機関に誤解を与えた」と指摘し、厚労省に改善を求めた。

 検査院が青森や新潟など10県の出先機関を調べたところ、全機関で誤った届け出が受理された例が見つかり、大半が告示の誤読だったという。過払い分は全国でみるとさらに増えそうだ。

 同制度では、医療機関が各都道府県にある地方社会保険事務局に、医師数や看護師数、病室の広さなどに応じたランクを届ける。職員や施設が充実するほど高いランクになり、診療点数が上がる。医療機関は点数に10円をかけるなどして診療報酬を算定し、患者負担分を患者に、残りを医療費として国や自治体、健康保険組合などの各保険者に請求する。

 同省は00年4月、制度を改定し、新たな届け出のルールを官報で告示。従来は医師と看護要員のどちらか一方が医療法で定めた標準人員の80%を超えていれば、診療報酬を引き上げる届け出を受理していたが、改定以後は、両方とも80%を超えていなければ受理しないことにした。

 しかし、告示の本文や関連の表などを併せて読むと意味がとりづらく、医療機関、事務局とも従来通りに「医師と看護要員の一方が80%を超えていれば受理できる」と解釈。医師不足でも看護要員が80%を超えたケースを受理していた。

 この結果、割高な点数に基づいた請求で国や自治体などが過大に支払った医療費は約60億円になり、うち国費だけで30億円余りになる。

 検査院は同省に、告示の記述を明確にし、医療機関が提出する届け出書類に医師数を明記させるなどの改善を求めた。

 検査院は20年近く前から毎年、医療機関による診療報酬の過大請求を調べ、ここ数年は10億円前後の不当な国費の支出を指摘してきた。こうした継続検査から今回の問題が浮上したという。

 <厚労省保険局医療課の話> 検査院の指摘を受け、地方社会保険事務局などには、事務連絡で告示の内容をあらためて説明した。今後も改善方法を検討していく。(11/05 06:10)

http://www.asahi.com/national/update/1105/010.html