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2003年11月05日(水) 00時00分

各党「年金マニフェスト」は“赤点”だらけ専門家3人が「改革案」を採点ZAKZAK

 終盤戦突入の総選挙(9日投開票)。圧勝の勢いをみせる「小泉・安倍」率いる自民党と、「菅・小沢」民主党とのマッチレース、拉致問題での田中真紀子前外相の大暴言などが注目されるが、国民最大の関心事といえば老後の生活に直結する「年金改革」。各党のマニフェスト(政権公約)でも重要な位置を占める。夕刊フジでは主要6党の年金制度改革案を専門家3人に採点してもらった。すると、大半が「赤点」という衝撃的な結果が出た。

 【総選挙の焦点】

 高齢化社会を背景に、安心して老後を暮らすのに不可欠な年金。平成16年は5年に1度の制度改正の年で、年内にも最終改革案が決定されるため、年金制度改革は総選挙の焦点の1つである。

 急速な少子高齢化や経済成長の鈍化、雇用環境の変化などで、数多くの課題が山積しており、新聞や週刊誌でも「年金空洞化」「不安拡大」「制度崩壊も」といった特集が組まれている。

 ただ、年金制度は複雑なうえ、世代間の違いが大きい。そこで、本紙は有権者も確認しやすい各党のHP上の年金制度改革案について、識者3人に採点してもらった。100満点で赤点は60点未満。

 【自民党・少子高齢化に対応する年金制度の再構築】

 《税と社会保険料を合わせた国民負担率は50%以内に維持。基礎年金の国庫負担率は2分の1に引き上げ。年内に改革案をまとめ平成16年法案提出する》

 まず、早大教授の植草一秀氏は40点。

 「改革案提示を16年に先送りしたのは問題。将来の負担増について消費税率引き上げを言及しているが具体的な方向付けなし。制度間の格差や年金非加入など、現状の問題の解決策がない」

 参院議員時代に税金・年金問題に取り組んだ大正大教授の野末陳平氏は30点。

 「年内に改革案をまとめるなら、もう少し骨格を示さないと国民をダマすことになる。国民負担率50%以内も、財政赤字を入れると現在でも50%以上。どんな手品か? 結局は増税しかない」

 日本証券経済研究所主任研究員の紺谷典子氏はなんと0点。

 「小泉首相は(改造内閣も含め)4回も厚相に就任した年金制度崩壊の責任者。失敗を反省せずに国民に安心を与える改革は不可能。9年の“改革”も、国民の不安をあおって負担増と行政サービスの低下を残した」

 【民主党・若者からも信頼される年金制度】

 《基礎年金の国庫負担率を5年間で2分の1に。所得比例年金と、税を財源とする国民基礎年金を設ける。基礎年金の財源は、デフレ克服、経済成長を条件に年金控除の見直しや、消費税の一部を年金目的税化して確保する》

 今回最高の70点を付けたのは植草氏。

 「将来の財源も消費税と提示されており、プランとしては最も明瞭(めいりょう)。ここから具体的な細目をいかに示してゆくかが今後の課題となる」

 紺谷氏は赤点だが、高めの50点。

 「利権の温床となっている積立金のガラス張りという姿勢は評価できるが、ポイントがずれている。最大の問題は役人の天下り」

 野末氏は30点。

 「『消費税の一部を年金目的税化』というなら、何%上げるかを明確にしないと。『デフレ克服』も方法も示さないとダメ。国民の年金不安は解消できない」

 【公明党・年金安心100年プラン】

 《基礎年金の国庫負担割合を段階的に引き上げ、20年度から2分の1に。国民年金保険料も月額1万8000円台を上限とする。厚生年金保険料は年収の20%以下。厚生年金の給付水準は、現役世代の手取り収入の50−50%台は確保》

 50点は紺谷氏。

 「保険料に上限をもうけ、給付額に加減をもうけるなど、国民の将来不安を減らし、安心を与えようという姿勢は年金の原点であり評価。ただ、他党と同じく霞が関発表のデータを基礎としている点などで不十分」

 野末氏は25点。

 「20年度からでは遅い。『保険料は年収20%以下』『給付水準は50−50%台』というのも、負担が増えて給付額が下がる話。こういう数字は国民は分かりづらい」

 【共産党・将来に安心が持てる年金制度】

 《基礎年金の国庫負担をただちに2分の1に引き上げ、財源は公共事業費や軍事費の削減などで賄う。雇用を守る政策に転換し、年金の支え手を増やす。175兆円に上る年金積立金を計画的に活用する》

 紺谷氏は40点。

 「国民の安心を優先するのはいいが、公共事業削減は反対。『大地震対策』『病院の充実』など本当に必要なことを選び効率的に行うべき」

 植草氏は30点。

 「消費税増税に反対し、公共事業や軍事費削減を財源とするとしているが、高齢化社会を考えると現実離れした話だ」

 【社民党・年金安心支給宣言】

 《16年度から基礎年金の国庫負担率を2分の1に。国民年金保険料は1万円に下げる。年金の返還制度の創設。1階は全額税方式の『基礎的暮らし保障年金』、2階は負担と給付が明確な『社会保険年金』にする》

 40点は紺谷氏。

 「国民の安心を重視、自分の拠出実績を確認できる制度にするなど情報公開重視は評価。ただ、実現性の考慮なし」

 植草氏は30点。

 「給付の拡充だけ示しても、現在の財政状況への対策を示さなければ将来不安は大きくなる」

 【保守新党・将来も安心できる年金制度を構築】

 《消費税の使途を基礎年金、高齢者医療、介護に限定する『社会保障目的税』の実現を目指す。年金積立金の活用は次世代の保険料負担軽減に充当》

 植草氏は50点。

 「財源として消費税を明確にした点は評価するが、全体像が不明確」

 野末氏は20点。

 「社会保障目的税とは、細川政権時代に打ち出した『国民福祉税』の焼き直し。中高年世代にアピールできない」

 【総括】

 あくまで専門家3人の採点だが、国民の老後がかかっているためか全員厳しい。3人の総括はこうだ。

 「今後、社会保障の財源が大きな問題となり、給付の見直しや財源の手当てが必要。各党のマニフェストは、今後必要な論議を進めるうえでの第一歩という位置づけになるだろう」(植草氏)

 「年金不安の解消のためには『消費税を10数%に上げるが、老後の生活は保障する』などと明言しないとダメ。そこをあいまいにして、抽象的数字だけ示すから国民は混乱する。批判されても大胆にやれ」(野末氏)

 「各党とも霞が関の情報を前提にしているが、年金制度は役人の天下りの温床。ここにメスを入れるべき。そして、元気な高齢者には働いてもらうことが大切。いずれにしろ景気回復が最も重要です」(紺谷氏)

 さて皆さんの判断は?

【採点表はこちら】ZAKZAK 2003/11/05

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_11/1t2003110519.html