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2003年11月05日(水) 00時00分

住民側控訴は棄却 公団値下げ訴訟 判決で批判 東京新聞

 住宅・都市整備公団(現都市基盤整備公団)による売れ残り分譲マンションの値下げ販売をめぐり、値下げ前に購入した首都圏の住民千二百二十人が「不当な高値で購入させられ、値下げで資産価値が減った」として、公団に二十九億四千六百万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が五日、東京高裁であった。江見弘武裁判長は住民側の請求を棄却した一審判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。住民側は上告する方針。

 一方で江見裁判長は、多数の空き家があるのに抽選販売したことに触れ「競合者が存在するかのように誤解させて購買意欲をそそる、いかがわしい販売方法だ」と、公団側の姿勢を批判した。

 訴えていたのは、一都四県の二十七団地に住む約八百五十世帯の住民。一九九三年以降の数年間に公団マンションを三千万−九千万円で購入したが、九七年以降、公団が大量の空き家を売るため平均で約20%値下げ販売し、資産価値が低下したなどと主張していた。

 判決理由で、江見裁判長は、契約締結にあたっての公団の説明義務違反について検討。「空き家や塩漬け棟による不便、不利益は大きいが居住者の増加によって解消されるもので、公団の説明義務違反の根拠にはならない」と、住民側の訴えを退けた。

 一方で同裁判長は「住民側の怒りはもっともなものがある」と指摘。「公団は山中の一軒家を販売したのではなく、すべての部屋に住民が住み、関連施設も整えられると言って、集合住宅を販売した。多数の空き家があるようでは生活空間としての住宅としてふさわしくない」と述べた。

 さらに日本の住宅政策にも言及。「住宅ローンの負担が重荷となっても、高い利息を払い続けるか、破産するかの厳しい環境に置かれている。これがわが国の持ち家政策の帰結とすれば、この政策は国民の福祉にかなうか疑問だ」と述べた。

 江見裁判長は、昨年十月にいったん判決期日を決めたものの、その後、期日を一年以上延ばしており、苦渋の判断をうかがわせる内容だった。

 住民側は九八年十月に提訴。東京地裁は二〇〇一年三月、「価格が市況変動に左右されるのは自明の理。公団は値下げ販売の可能性を明らかにして販売する義務はない」として、住民側の訴えを全面的に退けていた。

■大変意義深い

 都市基盤整備公団の話 同種訴訟の東京、福岡高裁判決と同様に、公団の主張が認められたことは大変意義深い。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20031105/eve_____sya_____000.shtml