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2003年11月05日(水) 13時06分

公団値下げ、住民の控訴棄却…販売方法には異例の批判読売新聞

 旧住宅・都市整備公団(現都市基盤整備公団)のマンションを値下げ前に購入した住民1220人が、公団に総額約29億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5日、東京高裁であり、江見弘武裁判長は、請求を退けた1審・東京地裁判決を支持、住民側の控訴を棄却した。

 しかし、公団が多数の空き家を抱えながら、なお抽選販売を実施した点について、「必要以上に購買意欲をそそるもので、いかがわしい販売方法と言わざるを得ない」などと、異例の“公団商法”批判も展開した。

 住民側は「上告の方向で検討する」としている。

 訴えていたのは、東京、千葉、埼玉、神奈川、茨城の1都4県の27団地の住民で、1993年から97年にかけ、約3000万円から9000万円でマンションを購入した。公団が97年8月以降、売れ残り物件を平均約20%値下げしたことで、損害を受けたとして提訴した。

 判決は、「法的には値下げを事前に説明する義務はなく、原告に対する販売価格も一部に適正価格との乖離(かいり)があったが、暴利とは言えない」と述べ、分譲時に適切な説明を怠ったとする住民側の主張を退けた。ただ、判決は「公団は団地がすべて分譲され、関連施設も整備されることを標ぼうして集合住宅を販売したのに、多数の空き家があるようでは生活空間としてふさわしくない」と言及。「住民らの怒りにはもっともなものがある」と理解を示した。

 さらに、住民が住宅ローンの負担に苦しむ境遇について、「住宅ローンの負担に耐え得なくなった時の立法上の防御措置もなく、これが我が国の政治が目指した持ち家政策の帰結であるとすれば、疑問を抱かざるを得ない」とも述べた。

 公団の値下げ販売を巡っては同様の集団訴訟が全国で4件あるが、今回が最大規模。これで4件のうち3件が1、2審とも住民側敗訴となった(2件は確定)。残る1件は、一審・東京地裁が今年2月、公団に慰謝料支払いを命じ、原告、被告ともに控訴している。

 判決後、会見した原告団長の松下仁さん(67)は「市民感覚と法解釈はずれている」と語り、水津正臣弁護団長は「公団の問題点に対する判決の指摘は正鵠(せいこく)を射たもの」と述べた。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031105-00000102-yom-soci