悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年11月04日(火) 00時00分

治安対策 安心への手だてを示せ 東京新聞

 「治安回復」が総選挙の俎上(そじょう)に載った。悪化する犯罪状況を改善するため、各政党は安心への道筋を示してほしい。警察官の増員と適正配置などの効果的な対策が必要だ。

 自民、公明、保守新の与党三党が「治安の回復」をマニフェスト(政権公約)に掲げた。民主も「犯罪のない、安心の強い社会」を目標にした。スローガンでは大差ない。

 国民が求めているのは、安心して暮らせるための具体的な対策だ。

 刑法犯の発生は増え続け、平成十四年には二百八十五万件にのぼった。かたや検挙率は平成十二年から20%台を低迷している。「三百万件になったら、捜査が追いつかない危険水域に入る」(佐藤英彦警察庁長官)ほどの状態だ。

 治安回復は、一刻の猶予も許されない。

 まず警察官の増員が急務である。自民は「五年間で、治安の危機的現状を脱し、不法滞在の外国人を半減する」と提起したが、警察官増員の明確な計画を示す必要がある。

 民主は「警察官を四年間で三万人増員する」と具体的な数字を掲げている。

 増員によって、真っ先に取り組むべきは、空き交番をなくすことだ。地域住民も切実に要望している。全国約六千五百の交番のうち、警察官が一時的でも不在となるのは全体の約四割にのぼる。自民、公明は三年間で、民主は四年間で、それぞれ空き交番を解消すると提起しているが、着実に推進してほしい。

 その一方、事件・事故の発生の少ない郡部の一人勤務の交番・駐在所を廃止する動きが広島、福岡両県などで出ている。地域住民の安心感を損なうような合理化は安易に進めてはならない。

 検挙率を戻すことも大きな課題だ。民主は「凶悪犯罪の検挙率を現状の48%から五年前の84%の水準に戻す」と具体的に挙げている。捜査・検挙能力を向上させるための研修体制を整える必要がある。

 最近の警察官の不祥事は、言語道断だ。「警察への信頼回復」(社民党)が治安回復の前提条件である。

 民主の菅直人代表は、急増する外国人犯罪への対応として入国管理の強化を、追加公約に盛り込むという。各党とも公約の足りないところは今からでも補った方がいい。

 治安回復には警察だけでは十分ではない。自治体、地域住民、警察が連携して犯罪抑止に取り組む機運が、ようやく芽生えてきた。新政権に、その後押し役が求められる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031104/col_____sha_____002.shtml