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2003年11月04日(火) 23時27分

BSE:解説 「2歳未満の牛は安全」の通説 見直し迫る毎日新聞


 国内9頭目のBSE(牛海綿状脳症)感染牛は、国内で最年少だった。世界中で知られる典型的なBSEの病原体(異常プリオン)を持っていた。発症しておらず、病原体の量は高齢牛の1000分の1程度と少ないが、2歳未満の牛から検出されたことは、日本以外の国が受け入れてきた「若い牛はリスクが低い」という通説に、見直しを迫るものだ。

 日本での1〜7頭目は「通説」どおり5歳以上の高齢牛だった。しかし10月6日に確認された8頭目、今回の9頭目はいずれも2歳未満と若い。

 小野寺節・東京大教授(応用免疫学)は「検査する対象が増えたので、こうした珍しい症例が見つかるようになった」と推測する。日本では食肉牛を、年齢にかかわらず全頭検査している。検査対象は、この2年間で246万頭を超えた。

 一方、欧州では費用対効果の面から、30カ月未満の牛は検査をせず、感染危険部位を取り除いた上で食肉にしている。今回の症例は、2歳未満まで検査し、検査技術に熟達した日本だから見つかったといえる。

 9頭目が従来型のBSEだったことも注目される。8頭目は、異常プリオンの構造が従来型と異なる「非定型的」と判断されていた。「従来型の感染初期の特徴か」との見方もあったが、さらに若い9例目から従来型の病原体が出たことで、その可能性は否定された。

 こうした科学的知見とは別に、この2頭が、異常プリオンを含む可能性のある肉骨粉の出荷停止後に、国内で感染した事実は重い。餌を含め、感染ルートの徹底した調査が求められる。【元村有希子】

 竹田美文・実践女子大生活科学部教授(感染症学)の話 いまだに肉骨粉を使用している農家があるとは考えにくい。肉骨粉はBSEが拡大した原因ではあるが、プリオンの異常を引き起こす原因や発生頻度は分かっていない。日本が全頭検査をしているからこそ見つかっただけかもしれない。元々、若い牛は感染しないなどという科学的根拠はない。これだけ食料生産が国際化している中で、若い牛を検査しない海外の検査体制こそ問題だ。

[毎日新聞11月4日] ( 2003-11-04-23:27 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031105k0000m040089002c.html