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2003年11月04日(火) 00時00分

薄型テレビ画面大競争 トップの座 揺らぐ日本 東京新聞

 大画面で高画質、しかも薄くて場所をとらない薄型テレビの販売が好調だ。画面に使うパネルの製造は現在日本メーカーがトップシェアを握り、業績回復にも大きく寄与した。だが、ここにきて韓国、台湾メーカーがパネルの増産計画を打ち出し、二年後に日本勢を追い抜くのは確実な情勢。年末商戦へ向け期待は高まるが、ブームに浮かれてばかりはいられない。 (栗原淳)

□ 拡大 □

 東京・秋葉原に今月下旬、石丸電気が八階建ての「テレビタワー」をオープンする。大画面薄型テレビに特化した専門館で、同社は「一日十−二十台も売れる。続々と新製品が出ており、全商品を並べるには広い売り場が必要だ」と意気込む。

 薄型テレビには、画面にプラズマパネルを使ったプラズマテレビと、液晶パネルを使った液晶テレビの二つがある。電子情報技術産業協会によると、九月の国内出荷実績はプラズマテレビが二万六千台で前年同月比38%増、液晶(10型以上)は十一万三千台と倍増。二年前の年間出荷台数は、それぞれ七万台、三十五万台で、ここにきて市場は急拡大している。

 来月から地上波デジタル放送の試験放送が始まり、薄型を採用した対応機種への買い替え意欲を刺激していることも追い風だ。市場調査会社GfKジャパンによると、販売金額シェアは46%で、従来型のブラウン管テレビの52%に迫る勢いで伸びている。

□ 猛追 □

 薄型ディスプレーは古くから研究開発で一歩先んじた日本メーカーの“お家芸”ともいえる分野だ。プラズマとテレビ用液晶パネルでは世界シェアの上位を占める。

 プラズマパネルの工法を「一種の職人技」と表現するのは、富士通と日立製作所の出資会社、富士通日立プラズマディスプレイの高橋光一事業企画部長。「従業員の技術レベルが高い日本の優位が続く」と誇る。

 だが、需要が本格化するとみられる二〇〇五年に照準を合わせ、韓国と台湾のメーカーが大幅な増産計画を打ち出した。

 プラズマでは、サムスンSDIとLG電子の韓国大手がラインを増強、〇五年までに生産能力を現在の五−六倍にしてシェアの半分近く占める見通し。富士通日立と松下の国内二社も増産態勢を敷くが、サムスンには遠く及ばない見込みだ。

 一方、液晶でも、LGフィリップスや台湾各社が〇五年に一斉に新工場を稼働。サムスンが同分野では劣勢だったソニーと合弁。同年夏、韓国で大規模な生産を開始する。大型液晶パネルの日本勢合計のシェアは、一気に十数%台に落ち込んでしまうとの推計もある。

 米調査会社「ディスプレイサーチ」の田村喜男副社長は「パネルの生産ラインは大規模で、多額の設備投資が必要。躊躇(ちゅうちょ)せずに資金を投入できるかがカギだ」と話す。

 日本メーカーは市場を席巻しながら、追い越され、事実上の市場撤退に追い込まれた半導体の轍(てつ)を踏むことになるのか。主導権をめぐる韓国・台湾との三つどもえの競争が激化しそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20031104/mng_____kei_____002.shtml