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2003年11月03日(月) 10時29分

【中国】名義借りのキケンな投資、上海不動産NNA

魅力溢れる上海の不動産市場。すでに「過熱」段階にあるとの危惧をよそに、不動産価格は上昇し、投資家の目を惹きつけ続けている。1990年代初期に外国人による分譲住宅の購入が始まり、すでに10年余りが過ぎた。当初、外国人向けの物件しか購入できないという政策の中で、「中国人の名義を借りる」という水面下の投資が続けられていたが、その矛盾が今になって日本人を巻き込む事件に発展した。【上海・平良孝子】

その事件は、ある中国人夫婦の離婚で始まった。東方早報によると、2001年5月、上海の王さん(夫)と李さん(妻)は性格の不一致から離婚を決めた。その準備に入ったところ、李さんは夫名義で浦東新区に12件、金額にして1,000万元相当の物件があることを発見した。そこで李さんは「夫婦の共有財産は平等に分けるべき」とその所有権を主張した。それに対し王さんは、「これは自分だけが買ったものでなく、友人の日本人がその大部分を支払った」とし、李さんにその権利はないとはねつけた。

この背景には上海の不動産政策がある。同市は2001年8月まで、「外国人は外国人向けの物件しか購入してはいけない」という政策を取り、外国人向けの物件を「外銷房」、中国本土住民向けの物件を「内銷房」とし、外国人の不動産購入を制限していた。両者の価格差は大きく、投資価値に着目した外国人が知り合いの中国人名義で購入するケースが少なくなかった。

夫の主張を妻は「財産分与したくないためのでっち上げ」としたため、この案件は法廷の場に持ち込まれたのだ。当事者である日本人は、法律で保護される所有権を持たないため、「共同出資」の線で資料を用意し訴訟が続けられている。

■ほとんどが泣き寝入り

「中国人の名義を借りた不動産購入にまつわるトラブルは非常に多い」とミギワ不動産(本社・上海)の汀文聡総経理。上述のケースについては、名義を借りた相手がしらを切っているわけではないので良いほうだという。

外銷房の販売が始まった1990年代初期から不動産業に従事している汀総経理によると、当時、内銷房はさらに中国公民向けの物件と華僑向けの「僑匯房」に分けられていた。古北新区の物件を例にとると、建築物の質はほぼ同じ条件で、内銷房が900米ドル(1平方メートル当たり、以下同)、僑匯房が1,100米ドル、外銷房は1,580米ドル、という価格差があった。

外銷房の始まりは虹橋開発区の太陽広場とされる。88年に太陽広場のデベロッパーである孫氏企業集団が外国人向けの住宅開発を目的として初めて、70年間の土地使用権を取得した。この時の価格がその後、開発区内の土地使用権の基準になったという。それから外国企業の外国人向け物件開発、販売が活発化した。太陽広場自体は、同集団の経営問題から建設が遅れ、完工は95年にずれ込んだ。

当時、外銷房用の土地は50〜70年の使用権を一括で購入しなければならないため、それが販売価格に反映され高額となったが、僑匯房は土地を無償で使用できたため安かったという。

こうした価格差に魅力を感じた日本人が、事業のパートナーや従業員、親しい女性などの名義を借りて内銷房を購入するケースが数多くみられるようになった。だが、あくまでも人間関係をベースにした契約関係であり、法的にはその物件の所有権を証明できない。関係悪化し、しらを切られてしまえばそれまで。知り合いの女性名義で購入し、最終的には2,000万円相当の物件を取られてしまった日本人など、泣き寝入りせざるを得ない事例は枚挙にいとまがないという。

防護策としては、外国人は物件の所有権を持てないため、名義人に融資した形をとり、返還期日の入った借入証を作成、金銭の引き渡しは現金を手渡しせずに、銀行口座に振り込む、というやり方が取られていた。トラブルが発生した場合は、所有権ではなく、金品の返済を求めることで訴訟に勝つことができる。

外国人への規制が撤廃された現在、以前の中国人名義の物件は、売買契約を交わすという形で名義変更できる。実際に金銭を動かす必要はなく、契約税や手数料、公証費など売買価格の3%以内の費用を納めることで完了する。

■横ばいながら上昇

上海の不動産はここ10年間で大きな動きを見せている。952003年11月3日盛り上がった第1次不動産ブームは、97年に一気に落ち込み、購入額の半額で物件を手放す日本人投資家が相次いだ。その後、99年ごろから上向き、急騰期を経て現在の横ばいながらも上昇という時期に来た。現在の価格水準は95年の8割程度に回復しているという。【月曜特集】

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