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2003年11月01日(土) 12時59分

社説2 強さ目立つ日本の自動車日経新聞



 「円は1ドル=100円を切ってもおかしくない」。ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー会長の強烈な先制パンチで東京モーターショーは幕開けした。

 円高の進行という不安はあるが、今回のモーターショーではトヨタ自動車、ホンダや復活を果たした日産自動車などの低公害車・新型車の先進性が目立っている。

 トヨタは「究極のエコカー」として燃料電池ハイブリッド車を公表した。世界に先行したガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド技術に新開発の薄型燃料電池を採用し、室内空間を広げている。環境配慮の特殊な車ではなく、走る楽しさという普通の乗用車になるというメッセージだ。

 世界的な排ガス規制を背景に低公害車の開発がショーの主要なテーマだ。欧州のメーカーはディーゼルエンジンの効率アップや液化石油ガス(LPG)車の開発が主流だが、本命視されているのは水素を燃料とする燃料電池車だ。

 市販化ではトヨタ、ホンダが先陣を切ったが、モーターショーではGM首脳が3年後の本格商業化で部品の量産化を含め巻き返しを宣言するなど、燃料電池車時代の到来は予想より早まりそうだ。

 日米欧で評価が分かれたのは、ハイブリッド技術だ。米国では、燃料電池車の量産化までの経過的な技術とし、日本ではトヨタなどは、燃料電池と並ぶ低公害車技術の柱とみる。欧州はそもそもが関心が低い。全方位型の低公害車の研究投資への熱意が日本の強さの背景だ。

 今回、日産は世界で初めて発表する展示車が7台と最多で、新車開発力でも復活ぶりを示した。カルロス・ゴーン社長の「斬新なデザインこそ日産の特色」という主張どおり、若者の人気を集めていた。

 モーターショーの目玉は、新型車や新技術以上に欧米の大手自動車のトップが来日するのを機に、水面下で繰り広げられる提携・再編劇だ。今回は大ニュースは皆無だった。

 米国市場でトヨタ、ホンダ、日産に追い上げられる中では、ビッグスリーには再編の資金的な余裕もない。ワゴナー発言のような円高誘導が、最も効果的な対日戦略だろう。 

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031101MS3M0101I01112003.html