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2003年10月31日(金) 00時00分

麻原彰晃被告の公判もようやっと最終弁論にこぎつけた。長く、… 東京新聞


 麻原彰晃被告の公判もようやっと最終弁論にこぎつけた。長く、おぞましく、やりきれない裁判。人々のいらだちの一つは、いくら論議を重ねても、この特異な事件の実像が見えてこないことにあるだろう▼オウム真理教の犯罪は、その罪の深さ、反社会性の大きさからして、初めに極刑ありき、の感がある。検察側は死刑を求刑し、弁護側は無罪を主張する。そして、教祖、麻原被告は徹底してだんまりを決め込んでいる▼すべては型通りなのだが、そこからは人々を納得させるものが出てこない。導師といわれる宗教家がなぜ殺人の指示を出すのか。人命を救う医師がなぜに大量殺人を実行し得たのか。そこのところが分からずじまいだ▼「本人がしゃべらないのだから、どうしようもない」というところに踏みとどまらず、あらゆる方法で真相を究明すべきである。それは、宗教や文学の分野にはみ出すものかもしれない。しかし、そこまでやらなければ、こういう犯罪は裁けない▼法に従うのが裁判だが、法律のために人間があるのではなく、人間のために法律があることも忘れたくない。オウムの事件は、現代社会が生んだ新しい型の犯罪である。裁判もまた「やった、やらない」だけではなく、社会の病理に鋭く迫るものでありたい▼裁判は、罪と罰を決めるだけでなく、社会への教訓を引き出すのも大事である。オウム裁判への不満といらだちを、現代社会の病理解明へのばねとしたいものである。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20031031/col_____hissen__000.shtml