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地下鉄・松本両サリン事件や坂本堤弁護士一家殺害事件など計１１事件に関与したとして、殺人などの罪に問われたオウム真理教元幹部・中川智正被告（４１）の判決公判が２９日午前、東京地裁で始まった。岡田雄一裁判長は主文の言い渡しを後回しにして、理由の朗読から始めた。検察側は死刑を求刑しており、午後に厳しい刑が言い渡される見通しだ。
中川被告は元医師で、松本智津夫（麻原彰晃）被告（４８）の主治医や身の回りの世話をしていた側近。罪に問われている事件は、松本被告の１３事件に次いで多く、死者数は計２５人にのぼる。
中川被告は、弁護士一家殺害事件の実行行為に加わったことは認めたが、多くの事件で殺意や共謀を否認。松本サリン事件では「殺意はなく、傷害致死の幇助（ほうじょ）にとどまる」と主張。地下鉄サリン事件では、サリン製造にかかわったことは認めたが、「何に使われるか知らなかった」として無罪を主張した。また、「心神喪失に準じる精神状態で、全事件で責任能力を欠いていた」とも訴えた。
一連のオウム公判で、これまでに死刑判決を受けた９人はいずれも控訴、上告している。土谷正実被告（３８）が来年１月３０日に、松本被告が来年２月２７日に判決が言い渡されて、起訴された１８９人全員の一審判決が出そろう見通しだ。
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＜起訴事実＞ （１）８９年１１月、坂本堤弁護士一家を殺害（２）９４年１月、元信徒の落田耕太郎さんを殺害（３）同年５月、滝本太郎弁護士を襲撃（４）同年６月の松本サリン事件に関与（５）同年１２月〜９５年１月、３人をＶＸで襲撃し、うち浜口忠仁さんを殺害（６）９５年２月、目黒公証役場事務長の仮谷清志さんを監禁致死（７）同年３月の地下鉄サリン事件に関与（８）同年５月、新宿駅で青酸ガスを発生させ（９）同月、東京都知事に爆発物を郵送し、都職員に重傷を負わせた。
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＜坂本堤弁護士一家殺害事件＞ ８９年１１月４日未明、オウム真理教と信徒の家族とのトラブル処理を担当していた横浜市の坂本弁護士（当時３３）のアパートに、教団の故・村井秀夫元幹部ら６人が侵入。同弁護士や妻都子さん（同２９）、長男龍彦ちゃん（同１）の３人の首を絞めるなどして殺害し、新潟、富山、長野各県の山中に埋めた。松本智津夫被告と実行犯５人の計６人が殺人罪で起訴され、うち４人が死刑判決を受けて控訴・上告している。
(10/29 10:24)