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2003年10月25日(土) 00時10分

日テレプロデューサーが視聴率買収 調査世帯に現金渡す朝日新聞

 日本テレビ放送網(本社・東京都港区)の男性社員プロデューサー(41)が、視聴率調査会社「ビデオリサーチ」(本社・東京都中央区)の調査対象世帯に現金などを渡して自分が制作した番組を見るように依頼していたと24日、同社が発表した。調査対象世帯は外部には秘密になっているが、プロデューサーは、興信所を使って割り出していた。日テレの萩原敏雄社長は記者会見を開いて陳謝したが、組織的な関与は否定した。

 日テレは、平均視聴率の「4冠王」を9年連続で獲得している。視聴率は、企業がテレビ局に支払うCM単価の指標であるだけでなく、番組の評価にもつながっている。今回の問題は視聴率への信頼感を大きく揺るがした。同社では、調査委員会を設置し、事実関係を明らかにした上で社員の処分などを決める。

 萩原社長によると、プロデューサーの買収工作は昨年7月から行われた。調査対象世帯の割り出しを、埼玉県内の興信所に依頼した。ビデオリサーチ社では関東・関西地区の場合、対象世帯のうち毎月25世帯を入れ替え、2年間ですべて一新するようにしているが、興信所は同社の保守点検の車を尾行し、5、6世帯を割り出したという。

 割り出した世帯には、知り合いの元番組制作会社の社長夫婦を介して、同年9月19日放送の「芸能人犯罪被害スペシャル」と26日の「奇跡の生還 芸能人版」を見るよう依頼。承諾した4世帯に、5千円から1万円の商品券か現金を渡した。プロデューサーは、1世帯判明するごとに興信所に10万円、社長夫婦には1件につき2万円を自費で払っていたという。

 今年1月、4月、9月のプロデュース番組でも「買収工作」をしており、それぞれ4世帯ほどが応じた。このときも同じように現金や商品券を渡していた。興信所が割り出した調査対象世帯は、最終的に12、13世帯にのぼったという。視聴を依頼した番組の視聴率は10.2〜17.1%だった。

 4世帯は視聴率に直すと約0.67%にあたり、関東地区の場合は約11万世帯が見た計算になる。

 1月の際は、自身がプロデュースした2番組のほかに、他局の2番組も加えて計4番組の視聴を依頼。「日テレ側からの依頼ということを分からないようにカムフラージュしたのではないか」と萩原社長はみている。

 ビデオリサーチ社によると、02年8月に調査機器の保守点検の車が尾行されていることに気づいたという。同社は車のナンバーから尾行していた興信所を特定し、法的処置の可能性も含め抗議をしたところ、03年2月ごろから尾行がなくなったという。

 同社は昨年末までに、3世帯に対して特定の番組視聴などの働きかけがあったことを知り、すでに調査対象から外しているが、今回の日テレの発表を受け、改めて関東地区の全600世帯について1、2カ月の内に調べるという。

 この問題は23日夜、一部のマスコミから日テレに事実関係の確認取材があったことで、明らかになった。社幹部がプロデューサーを呼び事情聴取。プロデューサーも認めた。

 このプロデューサーは84年入社で、91年にスポーツ局から編成局の制作部門に自ら希望して異動し、バラエティー番組を中心に手がけていた。問題となった番組の一つの「奇跡の生還 芸能人版」は、教育・教養・実用番組で、ビデオリサーチ社の週間視聴率1位(関東地区)を獲得していた。

 萩原社長は会見で引責辞任の意思を問われて「そのつもりはない」と述べた。(10/25 00:10)

http://www.asahi.com/culture/update/1024/003.html