悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年10月24日(金) 08時19分

日本ハム、BSE事業で3千万円不正受給 検査院指摘朝日新聞

 食肉加工最大手の「日本ハム」(本社・大阪市)が、牛海綿状脳症(BSE)対策の価格安定事業でかかった経費を過大に請求し、国費約3000万円を不当に得ていたことが会計検査院の調べなどでわかった。業界団体から委託を受けて牛肉を産地で買った際、買い取り価格に余分な利益を上乗せした金額を業界団体に請求したという。同社は9月末、金利などを含む約3300万円を業界団体に返還した。

 日本ハムグループをめぐっては、昨年、別のBSE対策事業に絡んで子会社が輸入牛肉を国産肉として偽装し、買い上げさせるなどした詐欺事件が起き、再発防止策をとったり、役員が処分されたりしている。今回、新たなBSE関連事業で、再び不正受給が表面化した形だ。

 問題となったのは、BSE対策事業のうちの「牛肉価格安定緊急対策事業」。業界団体が市場から肉を買い取り、価格が回復した段階で販売するが、売り上げで賄いきれない経費を特殊法人「農畜産業振興事業団」(当時)が助成する。

 関係者によると、業界団体の「日本ハム・ソーセージ工業協同組合」は01年度下期(01年10月〜02年3月)に同事業で牛肉約3500トンを購入。この買い取りと加工などは組合員の企業などに委託するが、このうち約1600トンは「日本ハム」に委託。同社は市場や産地で買い取り、その費用として約6億円を組合に請求。組合から同額の支払いを受けた。

 しかし、検査院が調べたところ、同社が組合に示した買い取り価格よりも、産地で実際に購入した価格が安いことが判明した。こうした差額を上乗せして過大に請求した総額は計約3000万円に上ったという。

 一方、同組合は02年10月から12月までに買い取った牛肉を販売し、同事業団に経費を請求。これを受け、同事業団は今年初め、請求通りに補助金を交付した。この事業の資金は全額が牛肉関税で得られる国費から支出されている。

 同社グループによる一連の偽装牛肉事件が発覚したのは02年8月。同組合の委託で同社が買い取りを行ったのはこれより前だが、組合が牛肉を売って精算し、補助金の交付を受けたのは事件発覚後だった。

 日本ハムは「牛肉では初めての事業だったため、担当者が買い取り委託事業を通常の商取引と間違い、組合に渡す際に利益を上乗せしてしまった。指摘されるまで気づかず、反論の余地もない」(広報部)と説明している。

    ◇

 <牛肉価格安定緊急対策事業> 国内初のBSE感染牛が確認された01年9月以降、国は全頭検査や肉骨粉の輸入・出荷停止などBSE関連対策を実施した。このうち、牛肉価格安定緊急対策事業は、暴落した牛肉の市場価格を回復・安定させるため、業界団体が市場などから買い取って冷凍保管し、価格が回復した際に再び販売する。買い入れや保管などの費用から売り上げを引いた差額分を農畜産業振興事業団が助成。01、02両年度で補助金約38億5000万円を支出、約1万8000トンが買い取られた。

    ◇

 《日本ハムを巡る一連の食肉偽装事件の経過》

01年9月 国内初の牛海綿状脳症(BSE)の牛見つかる

  10月 全頭検査を開始

      農水省がBSE対策を決定

  11月 日本ハムが日本フード関西など子会社から集めた肉を国の買い上げ事業に申請

02年2月 日本フード関西が日本ハム専務らに偽装を報告、日本ハムが業界団体に買い取り申請した肉の一部を対象から外すよう要請

  7月 日本ハムが返却された牛肉を焼却

     農水省が焼却問題を公表

  8月 日本ハムが記者会見で偽装を認める(7日)

     農水省が立ち入り調査(8日)

     農水省が日本ハムに牛肉販売の自粛を要請(14日)

     日本ハムが再発防止策、社内処分を発表(20日)

  9月 兵庫、徳島、愛媛各県警が家宅捜索

03年3月 愛媛県警が日本フード関西の元愛媛営業部長らを逮捕(12日)

     兵庫、徳島両県警が日本フード関西・元姫路営業部長らを書類送検(24日)=起訴猶予処分(10/24 08:05)

http://www.asahi.com/national/update/1024/016.html