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2003年10月24日(金) 00時00分

流通業界 柔軟な戦略が必要だ 東京新聞

 消費不振時代の流通業界は厳しい競争にさらされる。松坂屋の店舗閉鎖も厳しさの表れだ。百貨店経営にも柔軟なスクラップ・アンド・ビルド戦略が避けられなくなってきた。

 大手百貨店の松坂屋が全国十店舗のうち、関西地区の顔ともいうべき大阪店(大阪・天満橋)とくずは店(大阪府枚方市)を来春閉鎖すると発表した。大阪店は約四十年、くずは店は三十年の歴史があるが、開店以来ほとんど赤字という業績不振店で、その意味では遅すぎたくらいである。

 あと八年で創業四百年になる老舗松坂屋で黒字になっているのは名古屋本店と静岡店だけ。この二店の利益で他の八店を支えている。

 大黒柱の本店をことし百億円をかけて大拡張し、八万六千平方メートルという売り場面積日本一の巨艦デパートになった。東京の上野店、銀座店も改装計画があり、来期以降の業績の回復に大きな期待を寄せている。

 百貨店の店舗はどこも地域の中心地に立地し、歴史も古いため地域の顔になっている。多少業績が良くないくらいでは、閉鎖できないのが実情で旧そごうのケースでも浮き彫りになった。

 百貨店に限らず、スーパー、コンビニなど流通業界は過当競争の中にある。スーパーやコンビニは少しでも利益が見込める立地を求めて、店舗のスクラップ・アンド・ビルドを繰り返している。

 大手スーパー、ダイエーは取引銀行や政府系金融機関などの画期的な支援を得て、負債を軽減し関連企業を売却して経営再建を進めている。ユニー系のコンビニチェーンであるサークルケイとサンクスの経営統合など経営基盤の強化も目立つ。

 国内だけではなく米大手スーパー、ウォルマートは、西友に資本参加し、着々と提携の密度を高めている。米高級百貨店サックス・フィフス・アベニュー、仏スーパー・カルフール、英国の同テスコなど世界的な流通資本も、日本国内での本格展開を目指して、着実に拠点を築きつつある。

 こうした激しい競争的環境のもとでは、いくら地域の顔といえども、百貨店が不採算店舗を長く維持するのは困難である。

 むしろ早めに方向転換や店舗売却などを決断し、取引先や顧客、従業員など関係者の混乱を最小限にとどめる配慮が望まれる。

 競争は国内だけにとどまらないため、西友のような外資との提携も選択肢の一つだ。広い視野の中で、外資のノウハウも吸収する柔軟な経営戦略が必要とされる時だと考える。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20031024/col_____sha_____003.shtml