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2003年10月23日(木) 12時54分

社説1 もう総論ではすまない郵政改革日経新聞



 小泉純一郎首相の持論である郵政事業民営化が自民党の政権公約に盛り込まれたことで、郵政改革が選挙の争点に浮かび上がってきた。とはいえ、各党の公約はいずれもあいまいな内容にとどまっている。郵便局は有権者にとって身近な存在だが、抽象画をみせられたような政権公約では選択のしようがない。郵政改革を柱の1つに据える以上、各党は総論を超えた中身を示すべき時期にきている。

 自民党は2007年4月の郵政民営化を政権公約に盛り込み、「国民的議論を行い、2004年秋ごろまでに結論を得る」としている。一方、民主党は民営化のかけ声や見せかけの改革ではダメだとして「国民生活の向上・地域経済の活性化に資する郵政改革」を掲げている。

 従来の郵政事業のあり方に疑問を示し、改革が必要と考えている点では一致している。そして、民営化を打ち上げる自民党に対し、民主党が「経営形態より中身が大事」と応じる形に一応はなっている。ただ、その先になると、よく見えなくなる。

 自民党の公約は、郵政民営化を言うだけで、その方法については何も語っていない。昨年9月に出た首相の私的懇談会の報告書では、いくつかの方法を提示したものの、答えは出せなかった。これを首相も放置した。そもそも民営化反対論が党内で根強い中で本当に実現するのか、という疑念は払しょくできない。

 民主党も中身が大事とたんかを切るのはいいが、肝心の中身ははっきりしない。「郵貯・簡保資金を地域、中小企業に役立たせるシステム」としているが、これでわかる人は少ないだろう。郵貯資金が中小企業、地域活性化の名の下に財投機関に流れていったこれまでとどう違うのかという疑問もわく。

 われわれは郵政民営化を主張してきたが、これは小口配送や金融分野で競争を促すことで、利用者が安価で良質なサービスを受けられるようになるとの判断からだ。国営の金融事業がもたらす様々なゆがみを解消できる点も重要だ。

 もちろん、やり方次第では公正な競争を阻害したり、日本の金融機能の健全化につながらなかったりする懸念もある。民営化の方法は幅広い視点からの詰めを要する。ただ、論議が長引くと、郵便や金融の将来像がなかなか見通せず、企業や消費者に不利益を及ぼす。なるべく早く具体的な議論に入り、様々な選択肢の得失を検討して結論を急ぐべきだ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20031023MS3M2300P23102003.html