悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年10月22日(水) 17時48分

ダイオキシン、1グラム削減に「1億円」 費用計算朝日新聞

 昨年12月のダイオキシン規制強化に対応するごみ焼却施設の建て替えなどで、その費用と対策によって減った排出量を計算したところ、1グラム削減するのに平均約1億円かかっていたことがわかった。産業技術総合研究所(旧工業技術院)化学物質リスク管理研究センター(茨城県つくば市)が調査結果をまとめた。

 同センターの岸本充生研究員らが、ダイオキシン対策をした公設の焼却施設から153施設を無作為に選んで調べた。

 既存の炉にフィルターを設置するなどの設備投資が78施設、建て替えが72施設、飛灰処理用の薬剤の投入など維持管理で対応したのが6施設。二重の対策をたてたのが3施設あった。

 規制強化によってかかった費用から、炉の寿命などを計算に入れて1年間の経費の増加分を算出すると計240億円。削減できるダイオキシンの量は年間249グラムで、1グラムあたり約9600万円に上った。個別の施設をみると、1グラムあたり33万円から190億円までの開きが出た。廃炉の解体費用は含まれていない。

 企業が大気中への有害物質の排出量を抑えるための対策の平均的な経費は、1グラムあたりベンゼンで0.28円、トリクロロエチレンは0.68円。ダイオキシンの発がん性はベンゼンの約130万倍、トリクロロエチレンの約1900万倍強いとされるが、それを加味した費用対効果でも、ベンゼンの約260倍、トリクロロエチレンの約10倍かかっている計算だ。

 高コストの理由として、岸本研究員は全国的に緊急に対策をたてなければならなかったことなどを挙げている。しかし、効率的に削減策をたてれば、半分の経費で9割近くを削減できたとの試算も出している。「健康のために一部の施設を放置するわけにはいかないが、効率性を考えれば、一律ではない対策も選択肢として出てくるのでは」と話す。

 これに対し、環境省廃棄物対策課は「当時、別の対策があったかどうか疑問だ。施設の更新で、発電に利用したり最終処分がしやすくなったりと、ダイオキシン対策以外の効用もある。他の有害物質と単純比較はできない」と話している。

     ◇

<ダイオキシンの規制強化> 00年施行のダイオキシン類対策特別措置法で、02年12月以降ごみ焼却炉から出るダイオキシンの排出基準が、既設の施設ではそれまでの1立方メートルあたり80ナノグラム(ナノは10億分の1)から1〜10ナノグラム以下になった。このため、基準をクリアできなかった焼却炉の建て替えが相次いだ。新設施設の排出基準は0.1〜5ナノグラム以下。(10/22 17:48)

http://www.asahi.com/business/update/1022/092.html