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2003年10月21日(火) 22時29分

一字違いの抗がん剤誤投与、1カ月後に患者死亡 鹿児島朝日新聞

 鹿児島市の鹿児島大学医学部・歯学部付属病院(愛甲孝院長)に肺がんで入院していた鹿児島県内の男性(64)が、治療計画とは違う種類の抗がん剤を誤って投与され、約1カ月後に死亡していたことがわかった。使われた抗がん剤は正しい薬とは商品名が一文字違いで、投薬の指示書を作った研修医がパソコンに誤入力した。病院は投薬ミスと死亡との因果関係についてはっきりとは認めていないが、県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて関係者から事情を聴いている。

 愛甲院長が21日に会見して公表した。男性は8月に入院し、医師になって10年目の指導医と5カ月の研修医が受け持った。投与が予定されていた薬は抗がん剤の「タキソール」。研修医が指示書をパソコンに入力する際、いくつかの候補の中から誤って「タキソテール」を選択してしまった。

 投与薬剤の指示書は、「タキソ」と最初の3文字をパソコンに入力し、表示された複数の薬から選ぶ仕組みだった。しかし、「タキソテール」を選択してしまい、「抗癌(こうがん)剤ですが、いいですか」という画面に切り替わった後、「はい」のボタンをクリックしたという。

 タキソテールもタキソールと同様、肺がんや乳がんに使われる抗がん剤だが、タキソールに比べて3.5倍の強さがあり、白血球の減少など人体への悪影響が大きいとされる。

 指示書には指導医がサインすることになっていたが、しないまま薬剤部と病棟に送られ、病棟の看護師が9月上旬、点滴で投与した。両方とも抗がん剤のため、看護師も疑問に思わなかったという。

 男性は投与から7日目に白血球数が低下し、呼吸状態も悪化、循環器に異常が出た。その段階で、指導医と研修医が指示書を調べ、ミスが判明した。男性は一時回復したが、9月下旬に再び肺炎などを起こし、今月18日に死亡した。

 病院側は投与ミスがわかった段階で男性の遺族に説明し、謝罪した。会見で愛甲院長は「遺族に大変申し訳ない」と話した。

   ◇

 タキソールとタキソテールを間違えて投与した事例は他にもあり、厚生労働省は00年に各製薬会社に改善を指導。これを受け、製薬会社はタキソールは学術名の「パクリタキセル」で処方するようにし、タキソテールについては分量を「最大1回70mg/平方メートル」と表示するよう医療機関に注意を促していた。

 しかし、鹿児島大付属病院は商品名の「タキソール」をそのまま使っていた。同省医薬局安全対策課は「医療機関が両方の薬をどう扱っているのか、実態を調べたい」と話している。(10/21 21:17)

http://www.asahi.com/national/update/1021/031.html