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2003年10月21日(火) 11時52分

<損害賠償>「禁煙できる」 がん患者の請求棄却 東京地裁毎日新聞

 「喫煙で病気になった」として、肺がん患者ら6人(うち3人死亡)が日本たばこ産業(JT)や国などに6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は21日、患者側の請求を棄却した。浅香紀久雄裁判長は、有害性は認めたものの、「ニコチンは依存性があるが、アルコールや禁制品の薬物に比べ弱く、喫煙者の意思で禁煙できる」と指摘し、賠償責任を否定した。原告側は控訴する方針。喫煙者が病気を理由に損害賠償を求めた初めての訴訟。

 判決は、たばこの有害性について「肺がんなどになるリスクを高めることは、多くの研究結果で裏付けられ、社会の常識になっている」と嫌煙権訴訟(87年東京地裁判決)と同様の判断を示した。しかし、依存性の弱さに加え、「吸いすぎに注意しましょう」という現行の警告表示も「一定の機能を果たしている」と認定し、たばこの製造・販売に違法性はないと判断した。

 患者側は▽自動販売機での販売禁止▽有害表示の強化▽マナー広告を含めたコマーシャルの全面差し止め——も求めたが、いずれも退けられた。

 原告は69〜78歳の肺がん、喉頭(こうとう)がん、肺気腫患者3人と提訴後に死亡した患者の遺族3人。

 JTなどは「喫煙が、がんを引き起こすかどうかは解明されていない。依存性も酒に比べ問題にならないほど弱い。古くから伝えられてきた一定のリスクを承知で喫煙した以上、賠償責任はない」と主張してきた。【小林直】

◇「世界に比べ著しく遅れ」怒る原告

 判決後、原告・弁護団は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見。伊佐山芳郎・弁護団長は「5年間の審理で判決に期待していたのに。米国に比べると30年前の判断で、世界から著しく遅れた判決だ。喫煙が病気のリスクを高めることは、社会で認知されていると判決はしたが、ならば世界レベルの警告表示にすべきなのに、認められず残念だ」と述べた。

 判決言い渡し後に原告の支持者の代表が「不当判決」と書かれた垂れ幕を東京地裁の正面玄関前で掲げて出てくると、待ち構えた約20人の支持者からは「JTの言いなりだ」などの憤りの声が上がった。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031021-00001035-mai-soci