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2003年10月20日(月) 07時15分

ホームレス宿泊所「部屋でゴロゴロ、職安行かず」読売新聞

 「施設の中でゴロゴロし、就職活動をしている人はほとんどいなかった」。生活保護費から10万円前後を徴収し、ホームレスを入居させる宿泊所が大都市で急増する中、東京都内などの宿泊所の入居者らが読売新聞の取材に応じ、施設内の様子などを語った。

 一部施設の待遇に自治体から批判が出ていることに対し、全国で最多の123施設を運営するNPO法人(本部・東京都港区)は「改善の努力をしている」などと答えた。

 東京の下町にある木造2階建ての宿泊所。ここで暮らす高齢の男性は公園で、人目を忍ぶように取材に応じた。

 宿泊所には部屋が6つあり、計約40人が入居。この男性は8畳間に3人で暮らしている。食事は朝と夜、宅配のものを台所で温めて食べる。朝はご飯とみそ汁におかずが1品程度。

 ほとんどが5、60歳代だが、昼間は「金のある人は競馬やパチンコ、ない人は部屋でゴロゴロ。だれも職安には行ってない」。

 元ホームレスの寮長が、午前6時起床、午後9時就寝など生活を管理する。「監視が強く息苦しいが、寝ているだけで金が入る。今さら公園に戻るのは大変だから」と男性は話した。

 今年春まで千葉県内の宿泊所にいた50歳代の男性は、「福祉事務所で12万円の現金をもらっても、施設側に払う宿泊代などを除くと手元には3万円しか残らないので、嫌になった」と宿泊所を出た理由を語った。

 台東区の宿泊所に2年前に入った男性(55)。「暖かい部屋にご飯がつくよ」という誘い文句にひかれ、施設の職員に付き添われて福祉事務所で生活保護を申請した。生活ぶりや財産の有無などを質問され、「案外、簡単に」受理された。

 しかし、8畳間に5人で押し込められ、「シャワーは週1回。食事も米がぱさぱさしており、おいしくなかった」。元ホームレスの寮長に門限に遅れたことをどなられたりしたため、嫌気がさして1か月で上野公園に戻ったという。

 生活保護問題に詳しい日本女子大・岩田正美教授の話「ホームレスに住居を提供して、生活保護を受けさせる仕組み自体は問題ない。ただ、運営規模が大きいと、多額の生活保護費が使われるため、透明な収支報告が必要だ。各自治体には、生活保護費の使われ方や住環境を常に指導、監督する責任がある。今後、自治体が民間アパートや公営住宅を確保するなどの方策も必要になるだろう」

 NPO法人の広報担当者との主な一問一答は次の通り。

 ——宿泊所では数人が相部屋になっており、待遇を疑問視する声がある。

 「基本的に2人部屋に切り替えた。一部に3人部屋が残る程度。月に9万6000円徴収し、収益は新規開設に振り向けてきた」

 ——就労活動をしていない人が多いのでは。

 「都内で5、6人いる就労相談員が施設を巡回し、相談に乗っている。50歳を過ぎると就職は厳しい。それでも入居者の2割ぐらいは就職した」

 ——施設が嫌で公園に戻る人もいるが。

 「施設を出た人は生活態度が悪く、集団生活になじめない人。施設を悪く言う人もいるだろう」(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031020-00000402-yom-soci