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2003年10月20日(月) 00時00分

法廷メモランダム/司法委員と共に朝日新聞・

 京都簡裁判事 西村 恭一(にしむら きょういち)さん

 専門知識で和解の手助け

 簡易裁判所では、地方裁判所や高等裁判所のように合議制はなく、裁判官は1人で事件を処理している。国民に身近な裁判所として、簡易でわかりやすい手続きで迅速に紛争を解決することが要請され、しかもそれは適正妥当でなければならない。

 しかし、事件によっては、事実関係に争いがあったり、複雑な法律の解釈が問題となっていたりするものもあり、簡易裁判所の裁判官の責任は重い。

 これを補助してくれるのが、一般市民の中から選ばれ、簡易裁判所の民事訴訟手続きに立ち会い、裁判官に意見を述べたり、和解のための話し合いを助けたりする司法委員である。

 司法委員には、裁判が始まる前から法廷で待機してもらっている。訴えを起こされた被告が、原告との和解を希望した場合、直ちに和解の話し合いを進めてもらうためである。

 和解の話し合いは、法廷で行う場合もあるが、傍聴人がたくさんいる前で負債や資産状況を明らかにするのは被告に精神的苦痛を与えるので、当事者と司法委員が和解室に移り、話し合いを進めることが多い。

 司法委員は、被告の資産や負債状況を聞いて、毎月の返済可能額を算出して、原告に分割弁済の案を提示する。原告によっては、とにかく自分の債権だけ多く支払ってもらいたいため、被告にとって無理な弁済額に固執する人もいるが、司法委員は、それを根気よく説得する。

 双方が和解案に納得すると、法廷に戻り、裁判官に和解案を説明し、裁判官がそれを妥当と判断すると、もう一度当事者に対して和解案を確認して、和解が成立する。日によっては、司法委員に1時間で3件以上の和解をまとめてもらうこともある。

 司法委員には様々な職歴を有する人がおられ、その専門的知識を借りることも多い。建築関係の請負代金請求事件で、専門用語がたくさん出てきて、困ったことがある。そこで、1級建築士の資格をもつ司法委員を指定し、証人尋問では司法委員からも質問をしてもらい、その後、司法委員の意見を述べてもらった。

 この事件は専門知識を有する司法委員のおかげで和解で終了することができた。また、医療がらみの損害賠償請求事件では、何回か期日を重ねた後、医師の司法委員を指定して意見を求め和解案を提示してもらったところ、すんなりと和解が成立した。この時は、もっと早めに指定しておくべきだったと反省した。

 交通事故による損害賠償請求事件で過失割合に争いがある事件では、元検察官の司法委員を指定して、その意見を聞くことも多い。このほか、司法委員には、元労働基準監督署長、不動産鑑定士もいるので、事件によってはお願いしようと考えている。

 現在、私の担当する法廷では、当事者がより納得できる適正妥当な解決を図るため、ほとんどの事件で司法委員に立ち会ってもらっている。今後、簡易裁判所の訴額の上限引き上げにより、司法委員の役割もますます大きくなるが、それに甘えることなく、私自身の研鑚(けんさん)も怠らないようにしたい。

 ■西村恭一さんのプロフィル

 京都簡易裁判所判事。53年愛媛県出身。99年8月東京簡裁判事、00年3月根室簡裁判事、02年4月から現職。趣味は、旅行、最近妻と一緒に習い始めた茶道など。


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http://mytown.asahi.com/kyoto/news02.asp?kiji=3462