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2003年10月19日(日) 12時31分

社説2 健全なIP電話の導入策を日経新聞



 NTT東西地域会社は今月下旬から、一般の固定電話からIP(インターネットプロトコル)電話への通話を可能にする一方、自らも企業向けに限り、IP電話事業に参入する。これまでIP電話からしか発信できなかったが、「050」で始まるIP電話専用番号を交換機で認識できるようにした。しかしNTTが定めた通話料金はIP電話の利用価値を損なう恐れもありそうだ。

 IP電話はインターネット技術で通話する仕組みで、電話交換システムに比べコストが格段に安い。IP電話間なら基本料金だけ、固定電話へかける場合も通常の市内料金より安い3分7—8円が相場だ。ところがNTTの料金は3分6円と安くした半面、固定からIP電話への通話は3分10円台と逆に高くした。

 IP電話は現在、約500万回線が利用され、2年後には2000万回線に増える見通しだ。特に一般家庭に人気だが、導入メリットは企業の方が大きい。距離に関係なく通話料が安いうえ、社内の設備や運用コストも安いからだ。固定電話から受信できるようになれば、不特定多数が相手の企業にも導入がしやすくなる。

 しかし問題も残る。専用線による企業向けとはいえ、市内通信網で圧倒的シェアを持つNTTが、他社より安い価格で参入すれば適正な競争を損なう恐れがある。新電電16社のようにNTTの参入に反対するのは得策でないが、料金設定には議論の余地があろう。また固定電話からの料金を一律10円台にしたことは長距離通話にはメリットが大きいが、市内通話は現行よりも高くなるという逆転現象が起きてしまう。

 今後は異なるIP電話網間の料金設定も問題となろう。高速通信網で45%のシェアを持つNTTコミュニケーションズは、3分8円を前提に他のIP電話網との相互接続を求めている。しかし垣根が高ければ契約数の多い大手事業者に有利となり、本来無料にできるIP電話の利用価値を損なうことにもなる。

 米国では地域電話会社の要請で州政府がIP電話を規制する動きがある。通信市場の新たな主役であるIP電話を過度に規制するのは賢明でないが、健全な発展を促すにはバランスのとれた導入政策が必要だ。

 

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20031019MS3M1900J19102003.html