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2003年10月17日(金) 00時51分

ダイオキシン報道:最高裁判決、各局重く受け止め 毎日新聞


 テレビ朝日「ニュースステーション」のダイオキシン汚染報道で、テレビ朝日勝訴の1、2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した16日の最高裁判決。テレビ各局は「(誤報は)あってはならないこと」と重く受け止める見解を示した。一方、今回の判決は国民の知る権利や表現の自由を制約する可能性もはらむ。今後、テレビ局のニュース報道に影響を与えそうだ。

 判決後、記者会見したテレビ朝日の中井靖治報道情報局長は「主張が認められず残念」とした上で「音声・映像から受ける印象は強い。それを頭に入れて番組を構成しなくてはいけない。印象で誤解を与えたのは反省材料だと思う」と話した。

 他局も深刻に受け止め、TBSの昆洋隆広報部長は「テレビ報道に一層の正確さを求めるものであり、報道機関として重く受け止めている。改めて正確、公平な報道を徹底させたい」とするコメントを発表。フジテレビ広報部は「テレビの影響の大きさを改めて痛感した。テレビは感覚的なメディアなので番組全体が視聴者に与える印象というものにも配慮していかなければならない」と話した。

 日本テレビの矢永啓助広報部長は「個別の事実認定についての判断ではあるが、映像の内容、効果音などテレビの表現方法にも言及しており、今後の裁判の行方を見守っていきたい」と話し、NHK経営広報部は「コメントする立場にない」と話した。

 しかし、この日の判決で、泉徳治裁判官は、農家の被害の根源的な原因は廃棄物焼却場の乱立にあり、その後、法律や条例による一定の規制が行われるようになったことから、報道の全体的な意義を評価する補足意見を出した。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)は「この判決を機に調査報道が消えていくことに危惧(きぐ)を覚える。高裁判決は、人命への危険に警鐘を鳴らした報道の主要な部分は真実であるとして公共性を認めた。あの報道があって所沢のダイオキシン問題は注目されるようになった。(今後)民間の研究所などのデータを使って発表することができなくなったり、公的なデータしか使えなくなるのは国民の知る権利の制約につながりかねない」と話した。【内藤陽】

[毎日新聞10月17日] ( 2003-10-17-00:51 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031017k0000m040149000c.html