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2003年10月16日(木) 01時52分

調剤ミスで乳児死亡、高濃度の強心剤を投与される読売新聞

 兵庫県尼崎市の県立尼崎病院(18診療科、病床500床)で、心臓病の難手術を乗り越えて退院した同県内の男児(生後5か月)が、同病院で調剤された通常の10倍に当たる高濃度の強心剤の服用を続けたために死亡したことが15日、わかった。

 女性薬剤師(33)が調剤の際、高濃度の強心剤が入った瓶と取り違えたためで、チェック役の女性薬剤師(51)もミスに気付かなかった。病院側は遺族に経緯を伝えて謝罪した。病院から連絡を受けた県警尼崎東署は近く、業務上過失致死容疑で関係者から事情を聞くとともに遺体を司法解剖して死因を調べる。

 病院側の説明によると、男児には大動脈と肺動脈がつながる1万人に1人と言われる先天性の心疾患があり、8月に同病院で成功率50%とされる手術を受け成功。10月5日に退院し、その後は、病院で調剤された強心剤「ジギタリス製剤」を1日2回服用しながら自宅療養を始めた。

 ところが、数日後から発熱やおう吐の症状が出たため、14日朝に再度入院。治療を受けたが、同日午後、心室細動を引き起こして死亡した。

 その後の調査で、男児の退院時、医師は「1000倍に薄めた強心剤を1日当たり0・03グラム」、自宅で服用するよう処方、薬剤師に指示していたが、男児が再入院した際の検査で、強心剤の血中濃度が異常に高くなっていたことが確認された。

 さらに、本来は「1万倍に薄めた強心剤の瓶から0・3グラム」の調剤が必要だったが、女性薬剤師は「1000倍に薄めた強心剤の瓶から0・3グラム」で調剤していたミスがわかった。

 日本薬剤師会の「調剤事故防止マニュアル」では、賠償責任事例が多い医薬品の1つとして、今回男児が服用したジギタリス製剤を挙げ、「計量は複数で相互確認する」などのルール作りを求め、計量間違い防止のため容器に常用量を記載することを定めている。

 同病院では、ジギタリス製剤は、製薬会社から1000倍に薄められたものが納入され、病院は計量しやすくするため、独自に1万倍に薄めたものを作り、ラベルを付けて別に保管していた。2人の薬剤師は「なぜ間違ったのかわからない」と話しているという。

 平尾敬男院長の話「患者さんとご家族にご迷惑をおかけした。今後は再発防止に努める」(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031015-00000212-yom-soci