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2003年10月15日(水) 08時45分

内部告発に課徴金減免、強制調査権も…独禁法改正原案読売新聞

 公正取引委員会が検討している独占禁止法改正の原案となる独占禁止法研究会(公取委委員長の諮問機関、座長・宮沢健一・一橋大名誉教授)の最終報告書が14日、明らかになった。

 談合などを自主的に告発した企業には課徴金を減免する制度や、裁判所の令状に基づく強制調査権の導入など摘発機能を強化し、違反業者に対しては課徴金を大幅に引き上げることなどを盛り込んだ。公益事業への新規参入の妨害に対する規制も強化する。独禁法の抜本改正は、課徴金制度を導入した1977年以来で、公取委は改正案を来年度中に国会提出したい考えだ。しかし、経済界は課徴金の引き上げなどに強く反発しており、調整は難航も予想される。

 ●違反相次ぐ●

 公取委が独禁法の改正に取り組むのは、公取委がいくら取り締まっても、談合やカルテルなどの違反行為が相次いでいるためだ。

 報告書は、「違反行為を繰り返す業者が少なくなく、(現行独禁法の)実効性は必ずしも十分に確保されていない」と改正の必要性を強調している。

 取り締まりを強化する具体策としては、談合に加わった企業が自発的にその事実を公取委に申告した場合に課徴金を免除または減額する「措置減免制度」について、「違反事業者にカルテルから自発的に離脱するインセンティブ(誘因)を与える」とし、導入が適当とした。最近は、内部告発による不祥事の発覚が相次いでおり、減免制度の導入で、談合情報などを入手しやすくする狙いもある。

 従来の行政調査手続きでは、調査対象の業者が応じなければ、公取委は立ち入り調査ができないため、証拠隠滅などの恐れもあった。このため、国税庁や証券取引等監視委員会並みに強制的に立ち入って証拠を捜索できる「犯則調査権限」も認めた。

 ●一罰百戒●

 現行は違反対象の取引で得た売上高の6%相当が原則となっている課徴金を、大幅に水準を引き上げることも打ち出した。公取委は、違反を繰り返す企業がなくならないのは、課徴金の低さが一因とみており、「独禁法違反が割に合わなくする」(竹島一彦委員長)ためだ。具体的な引き上げ幅は報告書には盛り込まれていないが、20%程度を軸に調整を進める方針だ。

 違反行為を繰り返したり、違反状態が長期にわたる場合など、悪質な違反業者に課徴金の額を割り増しする加算制度も導入する。

 ●参入妨害●

 報告書は、規制改革の進展の一方で、「新規参入者を排除することで、競争を制限するような私的独占の行為も少なからず見られる」とも指摘している。こうした行為も課徴金の対象とするのが適当とした。

 電気やガス、通信、航空などの公益事業分野で、送電施設やガス導管といった不可欠な施設などを新規参入企業に使わせず、参入を妨害する行為に対する取り締まりを強化し、迅速に排除命令を出せるようにすることも検討している。

 ◆経済界、制裁強化に反発◆

 独占禁止法の抜本改正の動きに対し、日本経団連は「制裁を強化すれば、違反がなくなるという前提に立っている。制度の整合性のなさや不透明性がさらに増す」と強く反発し、再検討を求めている。

 とくに課徴金の引き上げには、「公取委はこれまで、課徴金はカルテルによる違法行為で得た不当な利益を没収するものと説明してきたはずだ」と反発している。「独禁法には刑事罰もあり、そのうえに課徴金を課すのは二重処罰という問題もある」と指摘し、将来は、刑事罰か欧州型の制裁金に一本化することを求めている。

 告発企業への課徴金の減免措置についても、「司法取引にあたり、刑事司法全体に混乱を生じさせかねない」と反対している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031015-00000301-yom-bus_all