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2003年10月08日(水) 21時12分

「動く本箱」次々引退 ディーゼル車規制が追い打ち朝日新聞

 えりすぐった本をバスに満載し、住民に届けてきた「移動図書館」が次々と姿を消している。93年に130台が走っていた首都圏は4割が廃止。少子化などによる利用減に加え、1日から始まったディーゼル車規制が背景にある。近畿、中京圏を含めた大都市圏では、古いトラックやバスの買い替えを義務づける法規制も始まり、「動く本箱」の前途は多難だ。

 「無償でお譲りします」。東京都東村山市のホームページを開くと、同市の移動図書館「あおぞら号」の写真を添えたお知らせが現れる。74年に走り出し、現在3代目。走行距離10万キロはまだまだ働き盛りだ。

 しかし、ディーゼル車規制によって、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)減少装置を約100万円かけて付けなければ走れなくなった。装置を付けても、数年以内には自動車窒素酸化物・粒子状物質削減法(NOx・PM法)で、2千万円近い新車への買い替えが必要だ。規制外地域の引き取り手を探している。

 引退当日の9月25日、最後の巡回先は市内の老人介護施設だった。次回からは注文した本が届けられる方式に変わるが、入所者の丸田美津子さん(75)は「足が悪くて外に行けないから、頼りだった。注文方式では、選ぶ楽しみがなくなっちゃう」と残念がる。

 日本図書館協会などによると、移動図書館は戦後まもなく始まり、紙芝居や映画の上演もあった。93年当時、48台が走っていた埼玉県は現在、31台にまで減少。年内にさらに2台減る見込みだ。同じ期間に、東京都は30台から12台、千葉県は27台から23台、神奈川県は25台から13台に減った。

 PM減少装置を取り付けて、とりあえずディーゼル車規制をクリアした自治体の中には、「NOx・PM法で新車購入が必要となったら、廃止を検討する」という声も目立つ。

 埼玉県内の移動図書館活動を支えてきた県移動図書館振興協議会は「ディーゼル車規制は言い訳で、リストラされているのが実情だ。本の回転率ばかりが重視され、きめ細かいサービスが切り捨てられている」と批判している。(10/08 21:12)

http://www.asahi.com/national/update/1008/028.html