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2003年10月08日(水) 14時25分

損賠訴訟:割れた食器の破片で目に障害 販売会社に賠償命令毎日新聞


 奈良市の国立奈良教育大付属小学校で、床に落として割れた給食用の強化耐熱ガラス製食器の破片が目に刺さり視力障害を負った児童が、安全性に欠ける食器だったことが原因などとして、国(学校管理者)と食器販売会社を相手取り計約1440万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、奈良地裁であった。

 東畑良雄裁判長は「破損した場合の危険性が普通の食器より大きいことを消費者に十分に周知しなかった」として、製造物責任(PL)法に基づく会社側の責任を認め、会社側に1040万円の支払いを命じた。国への請求は「事前に安全性は検証しており、やむを得なかった」として棄却した。強化耐熱ガラス食器は全国の学校で使用されており、影響を与えそうだ。

 原告は奈良市在住の私立中2年の女子生徒。訴えられた会社は食器輸入会社「旭テクノグラス」(千葉県船橋市)と子会社の食器販売会社「岩城ハウスウエア」(同)。事故があったのは99年2月で、翌年8月に提訴していた。

 判決によると、当時小3だった女子生徒は、教室で給食後の片付けの際に別の児童と接触し、強化耐熱ガラス製食器を約90センチの高さから床に落とした。食器は粉々に割れ、はね返った破片の一部が右目の角膜を破り水晶体に刺さった。水晶体を摘出して眼内レンズを入れたが、焦点調節機能などに障害が残った。

 女子生徒側は強化耐熱ガラス製食器について、複数のガラス質を圧縮して張り合わせた構造で割れにくい半面、割れた場合には破片が普通の食器以上に拡散する危険性を指摘。学校には安全性を十分検証しなかった注意義務違反が、食器は米国製だが、輸入、販売会社には危険な商品を販売したPL法に基づく過失があるなどと主張した。

 学校側は「安全性は96年の採用決定前に十分検討した。当時、事故例の報告はなかった」と主張。会社側は「通常の使用形態を逸脱した状況で起きた事故で、生徒の過失が原因」と反論していた。

 強化耐熱ガラス製食器では、96年7月にも東京都足立区の区立小学校でも2年生の女子児童が同様の事故に遭っている。文部科学省は02年9月、全都道府県教委に給食用食器を強化耐熱ガラスから他の材質に切り替えるよう求める通知を出した。同省によると、強化耐熱ガラス製食器は02年度調査で、全国の給食実施公立学校の4・4%にあたる1354校で使用されている。

 栄養士や調理師、教員、保護者らでつくる「全国学校給食を考える会」(東京都港区)事務局の前川隆文さんは「今も使っている学校は、同じ被害を二度と起こさず、児童・生徒の安全を守るために、早急に使用を中止すべきだ」と話した。【野村和史】

 ▽旭テクノグラス総務課の話

 判決文が届いていないので、現時点ではコメントは差し控える。事故後、より安全に使用してもらえるよう、取り扱い説明書に激しく飛散することを分かりやすく記載するなどの改善を加えている。

[毎日新聞10月8日] ( 2003-10-08-14:25 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031008k0000e040063000c.html