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2003年10月07日(火) 00時00分

県内初のBSE認定 生産は県外、関係者ら困惑 東京新聞

 茨城町下土師の県中央食肉公社で食肉処理されたホルスタイン種の牛一頭が六日夜、厚生労働省から国内八例目、県内では初めての牛海綿状脳症(BSE)と認定されたことを受け、県の担当者は対応に追われた。しかし、生産地が県外であるため、生産者団体からは「対策を取りづらい」と困惑の声もあがっている。 (佐久間光紀)

 県庁では午後七時二十分から、対策本部会議が開かれた。同公社社長の角田芳夫副知事は「生産地は県外だが、食肉処理したのが県内なので引き続き情報収集に努めたい」と述べた。

 県安全対策室や公社などによると、BSEと認定された牛は二〇〇一年十月生まれの生後二十三カ月の雄。栃木県大田原市の農家で飼育された後、昨年五月から食肉用として福島県葛尾村の農家で肥育された。公社へは食肉処理された二十九日朝に他の三頭と一緒に運び込まれた。同日は計五十六頭の牛が処理されたが、他の五十五頭への感染はなかった。

 県内でのスクリーニング検査は三十日に県北食肉衛生検査所(水戸市)であり、陽性の疑いが出たため、国立感染症研究所で詳しい確認検査を受けていた。若い牛はBSEの原因となる異常プリオン(タンパク質)が蓄積しにくいため、当初は県の担当者も「数値が安全率を若干上回った程度で、陽性の可能性は低い」と楽観視していた。

 県内では検査が義務づけられた二〇〇一年十月以降、五万頭以上の牛を検査。BSEの疑いがあるとして感染症研究所へ送ったのは、今回で八頭目だった。

 この牛の枝肉や内臓、皮など計千五百五十キロは同公社の冷蔵庫で保管しており、国、県の方針に沿って公社で解体、焼却処分する。公社内の設備の消毒は、県内の検査で陽性の疑いが出た三十日にすでに行っており、現在は通常の業務を行っているという。

 一方、生産者からは戸惑いの声も。全農いばらきは七日朝にも県内の三十二農協へ文書で事実を知らせる方針だが、「生産地がよその県内なので、失礼にならないようにしたい」と対応の難しさを指摘。消費者に対しては「検査を適正に行ったから見つかったと思う。食肉への不信は持たないでほしい」と話すにとどまった。

 同公社は県が出資する第三セクターで、県内では食肉処理場と市場が併設された唯一の施設。一日に処理できる牛は九十頭で、BSE騒動が起きた二年前には処理頭数は半減以下に落ち込んだが、最近は持ち直していたという。牛の取引は県内をはじめ、千葉、栃木、福島など隣接県のほか、岩手県の農家と行っている。BSE診断を受けた農家から月二回、十数頭ずつ運び込まれることが多かった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ibg/20031007/lcl_____ibg_____000.shtml