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2003年10月06日(月) 11時37分

「入学する地位得た対価」 大阪地裁、入学金返還認めず朝日新聞

 入学を辞退したのに、納めた入学金や授業料を返さないのは消費者契約法に違反しているなどとして、神戸薬科大(神戸市東灘区)に合格した2人が、大学を運営する学校法人を相手に、辞退するまでに納めた計185万円の返還を求めた訴訟の判決が6日、大阪地裁であった。佐賀義史裁判長は、授業料として納付した85万円については大学側に返還を命じたが、入学金については「大学に入学する地位を取得したことへの対価にあたる」と判断し、返還請求を退けた。

 「前納入学金・授業料返還弁護団」(代表・松丸正弁護士)の支援で入学辞退者が私大などを相手取った一連の訴訟では、7月の京都地裁判決が消費者契約法を根拠に授業料のほか入学金の返還も命じている。入学金についての判断が、この日の判決で分かれたことになる。

 神戸薬科大は募集要項で「納入された入学金及び授業料は理由を問わず返還しない」と定めていた。裁判ではこの規定が、解約によって生じる損害を超えた違約金をとるのは無効と定めた同法が適用されるかどうかが争点になった。

 判決はまず、学納金について「入学金を支払った時点で在学契約が成立するが、入学の辞退で契約を解約したことになり、大学側がそれまでに提供した対価分を除いて、学生は納めた学納金の返還を請求できる」との判断基準を示した。

 そのうえで、判決は入学金と授業料それぞれの位置づけに言及。入学金については「原告は大学に入学し得る地位という対価を得ており、大学も原告らを受け入れるための具体的準備をしていた」と述べ、返還請求はできないと判断した。

 一方、授業料については「学生が教育を受けることの対価だ」と指摘。さらに「辞退により大学側に損害は生じておらず、返さないと定めた規定は無効だ」との結論を導いた。

 判決によると、原告の2人は02年度の入試に合格し、それぞれ入学金50万円を支払い、同年4月1日までに入学を辞退した。うち1人は授業料前期分85万円を納め、もう1人は、納付期限までに授業料前期分を納めなかった。

 一連の訴訟で判決が出たのは3例目。7月の京都地裁判決は、納めた学納金を返さないとする募集要項の条項は同法により「無効」と判断。授業料のほか4月1日までに辞退した人には入学金も返還するよう大学側に命じた。9月の大阪地裁判決は、原告が01年4月の同法施行前の辞退者だったため同法は適用されず、不返還条項は「民法の公序良俗に反しない」として請求を退けた。(10/06 11:37)

http://www.asahi.com/national/update/1006/017.html